トンニャン#13 愛の天使クビド(リオールと対の天使)
※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「クビドの巻」のような意味。話の位置は、前回の「リオールの巻」の続きです。また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。
「・・・クビド、あなたのさっきの頼みだけど」
「いや、なんと説明したらいいか」
「言わなくていい。みんな聞こえてるんだから。私、何とかしてみるわ」
「言わなくてもわかるのか?」
チェリーは天を仰ぐように顔を上げた。
「こんな時、他の誰に相談するの?」
「そうだな。任せるよ」
クビドが望んだ事は、妻のチェリーの機転で、時を経ずして現実のものとなった。
また異次元に球体が出来ていた。今度はアスタロトにも、いや魔界・天上界の誰にも気づかれないように、もっと厳重にシールドが張られ、しかも、今回集まる者だけが、通り抜けられるようになっていた。
「チェリー、久しぶり!嬉しいわ。こんなに続けて、友達に会えるなんて」
コーラは、球体の中でチェリーを見つけると手を取って、再会を喜んだ。
「私もよ、コーラ。こうして会えるなんて。
トンニャンに連絡を取りたくてずっと念じてたの。
まさか、トンニャンがあなたの城にいるなんて、思いもよらなかったわ」
チェリーも、嬉しそうに応じている。
「親しい友達とは、女同士でもキスするんじゃないのか?」
「よせよ、リオール。場をわきまえろ」
アシュラに促されてもリオールはしかめつらした顔で横を向いている。
あれがリオール・・・似ているのだろうか。
チェリーの念じた波動は、すぐさまトンニャンがキャッチした。
チェリーにしか捉えられないテレパシーで、トンニャンはチェリーと会話し、今日が実現したのだ。
クビドの頼みとは、ミカエルから聞いた、自分と対の天使、悪魔皇太子リオールと対面したい、という事だった。
トンニャンの作った球体の中には、愛の天使クビド、その妻チェリー、悪魔皇太子リオール、その妻コーラ、そしてアシュラとトンニャンがいた。
「これから、ルシファーが封印してきたリオールの天使としての力を解放する。
しかし、それはこの中だけの事だ。外にはもれないし、外に出る時は、また封印する。一時のことだ」
トンニャンはそう言うと、リオールの頭に手をかざした。
風が渦巻いて、リオールを包んだ。
皆、嵐の中に放り出されたようになり、しゃがみこんだ。
しかし、コーラとチェリーにいたっては、球体の壁面まで飛ばされて、その壁面にへばりついたまま、嵐の去るのを待つしかなかった。
やがて、嵐が弱まり、渦巻いていた風が静かになった。
クビドは、その風が消えた場所に立つ、輝く六枚の翼を持つ美しい白い彫刻のような天使に見入っていた。
鏡を見ているようだ。これが、リオールなのか。
続く
ありがとうございましたm(__)m
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