アスタロト公爵#7 悪魔の君主アスタロト公爵
※この物語は 「阿修羅王」本編より 悪魔の三大実力者のひとり、アスタロト公爵の作品を抜粋しています。特定の宗教とは 何の関係も無いフィクションです。
「リオールじゃないか。何をやってるんだ!」
フェアリーに案内された地下牢で、アスタロトは目を疑う光景に出合った。それは、事もあろうに大魔王ルシファーの後継者・悪魔皇太子リオールが透明の縄に縛られて、座り込んでいる姿であった。
「アスタロト様?」
フェアリーはアスタロトの予想外の反応に戸惑いの表情を見せた。
「フェアリー、すぐ縄を解くんだ。
・・・ルシファー様に知られたら、ただでは済まないかもしれない」
「アスタロト様・・・」
「だから、今すぐ縄を解くんだ!」
フェアリーはおずおずとアスタロトの右手を取り、さらにアスタロトの左手をリオールの肩にふれさせた。
「何を・・・!!」
アスタロトの中に、フェアリーの特殊な波動が流れ込んできた。
それはかつてアスタロトが天使だった時に持っていた、懐かしい波動だった。
そしてその瞬間、アスタロトは見てはいけないものを見たように、リオールから手を離した。
「リオール、おまえ・・・」
「気づいてしまったか、アスタロト」
背後から聞こえるはずの無い声が聞こえて、アスタロトは振り返った。
「トンニャン、アシュラ。どうやってあの部屋から?」
そこには腕組みをして横向きに柱に寄りかかったアシュラと、真っ直ぐにアスタロトを見据えるトンニャンがいた。
「わたしに破れないシールドなど無い。おまえの目的が知りたかったから、捕まったふりをしていただけだ。だが、事情が変わった」
アスタロトは後ろのリオールをチラッと見た。
「アスタロト、リオールを離せ。為にはならんぞ」
アスタロトは少しためらいを見せたが、もう一度フェアリーに命じて、リオールの縄をほどいた。
リオールは、立ち上がるのに少し時間がかかり、アシュラの手を借りなければならなかった。
「アスタロト、少し話しがしたい。部屋は用意できるか」
アスタロトは複雑な表情を見せて迷っているようだったが、フッと息をついた。
「わかった。
フェアリー、リオールとアシュラに部屋を用意して休ませてやれ。
リオールが傷めている所があれば、おまえのヒーリングで治療しておけ。
わたしは、トンニャンと話がある。
わたしの部屋には、いいと言うまで、誰も入れるな。」
フェアリーは黙って頷くと、リオールを肩にかけて支えているアシュラに手を貸して、部屋に案内していった。
「ここがおまえの部屋か?アスタロト、少々少女趣味ではないか。
あのロココ調の部屋といい」
アスタロトは自分専用の豪華なソファーに座り込むと、パチンと指を鳴らした。
目の前の大理石のテーブルに、バラの花と、その香を放つ紅茶が用意された。
「ほう、歓迎してくれるのか。
バラか、バンパイア(吸血鬼)が好みそうだな。
人間の描いたおまえの絵には、口から血を流している美しく冷酷な姿もあるそうだぞ」
アスタロトはひじ掛けにもたれながら、口を歪め微笑んだ。
「あれは本当にわたしが人間界で起こした事を、伝説のように語り継いで、人間達が絵に残しているだけだ。
かなり似ている物もあり、正直、人間の観察力に驚かされる」
ありがとうございましたm(__)m
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