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巴の龍(ともえのりゅう)#16

大悟(だいご)らが あっけにとられていると、

「大丈夫、太刀の腕は俺より上かもしれん」

兵衛(ひょうえ)が そう言った時、頭の上に

雁崖小僧(がんぎこぞう)が飛びあがって襲ってきた。

しかし、兵衛に届く間もなく、大悟の矢が妖怪を貫いた。

「ほう、やるじゃないか。太刀より弓が お得意かい?」

と言いながら、兵衛大悟の背後に迫ってきた

雁崖小僧を斬って捨てた。

「おあいこ」

また 兵衛が笑った。

「ふはははは・・・」

奮戦している兵衛らの頭上に、宙に浮いて

立っている人の姿があった。

四天王!」

菊葉(きくは)が叫んだ。

「覚えていてくれたか、ひ・め・さ・ま

皮肉るように言うと また笑った。

「何だ、こいつ。何者なんだ?」

四天王兵衛をにらむと、ひとりひとりを見回した。

「わしは三つ口定継(みつくち さだつぐ)様の配下

四天王の一人、一の将軍・・・」

そこまで言うと あたりは一転にわかに かき曇り、

暗雲立ち込め、昼だというのに暗闇が訪れた。

そして、四天王の体が 稲光を発し輝きだしたかと思うと、

真黒な身の丈六尺(約180センチ)の龍の姿になった。

「わしの名は黒龍(こくりゅう)

定継様の命(めい)を受け、姫の おいのち

いただきに来た。菊葉、覚悟!」

初めて見るの姿に丈之介はしばし呆然とし、

奮戦していた葵も腰を落として黒龍を見上げる。

兵衛大悟菊葉は、いつのまにか

三人背を向けて立っていた。

黒龍が再び稲光を発しようとした時、何の奇跡か月明かりが射しこんできた。

その光はまっすぐに三人を照らし

三人の体から天に向かって光が発せられ、

光は 三つ首の龍の姿となった。


巴の龍#16

ありがとうございました(*'▽')


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巴の龍#17へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n4832402b6404

最初から 巴の龍#1
https://note.com/mizukiasuka/n/n6785ce9c010e


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