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トンニャン過去編#47 ビリー・グレープ(原題「フェニックス」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「エレンの巻」(原題「天使チェリー」最終話)の次。「ビリーの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです

「ルシファーにはうまく言っておくわ。コーラも、人間界で学ぶ事がありそうだしね」
ラベンダーティーを含みながら、トンニャンが微笑む。
「あの、トンニャン」
「さめちゃうわよ、好きなレモングラス」
チェリーは、レモングラスを少し口にすると、カップを置いて、またトンニャンに向き直る。
「どうして・・・」
「どうして、私の好きなハーブティーがミントってわかったの?」

チェリーはコーラに先に質問されてまた戸惑った。
「私にわからない事はないのよ。チェリーが好きなのは、レモングラス。コーヒーなら、ミルクとシュガーをたっぷり。
コーラは、ミントティー、コーヒーはアメリカンにシュガーをほんの少し。
私はラベンダーとブラックコーヒーだから」
チェリーは立ち上がった。
「そんなことより、トンニャンは何故ここにいるの?」
 
少しの間、皆しんとしていたが、黙ってラベンダーを飲みながら、トンニャンはそのカップを両手で持った。
「ここに、一緒に住みたい、と思って来たの」
ストン!とチェリーはソファーに腰をついた。そして、レモングラスを口に近づける。コーラはミントティーのカップを持ったまま、固まっている。
「部屋、空いてるわよね?ルームメイトが一人増えても、問題ないと思うけど」
 
 
「やあ、トンニャン・フェニックスだよね?」
「あなたは?」
「同じ五年のピエール・オーギュスタン。アリスから話を聞いて、君達三人、チェリー・エンジェル、コーラ・デビル、トンニャン・フェニックスに興味を持ったんだ」
ピエールはなめるようにトンニャンを見ている。

「フェニックスって、不死鳥だよな。中国に鳳凰という鳥がいる。よく似た鳥だ。トンニャンてのは、中国名かい?」
トンニャンはピエールを一瞥すると、冷ややかに言い放った。
「ずい分と好奇心が強いのね。やけどしないように、気をつけた方がいいわ」
 
「アリス、ダメだったよ。収穫無しさ」
トンニャンがいなくなると、すぐにアリス・ジョージャスが現れた。
「トンニャンが一番手ごわいわ、去年ずっと仲良しで一緒にいたコーラだって、全くシッポつかませなかったもの」
 
 
「チェリー、久しぶりだな」
ビリーに声をかけられた時、チェリーはルーシー・エイビスと一緒だった。ルーシーは、ピース家に引き取られたが、本人の希望で、そのままエイビスを名乗っていた。
ビリーは一緒にいた友人を紹介した。

「友達のフィリップス・セザール、同じ六年なんだ」
二言三言言葉を交わしているうちに、ルーシーの様子がいつもと違う事に気がついた。いや、フィリップは、初めからルーシーにしか話しかけていないようだ。そうしているうちに、ビリーがチェリーに耳打ちした。
「二人だけにしてやろう」

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#47 ビリー・グレープ(原題「フェニックス」)

※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
これから時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。

【「炎の巫女」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024

次回トンニャン過去編#48 ビリー・グレープ(原題「フェニックス」)へ続くhttps://note.com/mizukiasuka/n/n4bb909f7eaab

前回トンニャン過去編#46 ビリーグレープはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n8293c9080d49

■トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d

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