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巴の龍ともえのりゅう)#19
「くっつくな!」
兵衛(ひょうえ)が葵(あおい)を引き離すと、
「そうか。洸綱(たけつな)様は生きておられたか。
その上、兵衛と葵さまの縁組を・・・
ありがたいことだ。」
と丈之介(じょうのすけ)は うなずきながら
大悟(だいご)と菊葉(きくは)を振り返った。
兵衛は否定しようとしたが、
また しつこく葵が抱きついてくるので、
引き離すので 手いっぱい。
「大悟、菊葉、兄の兵衛だ。
桔梗(ききょう)の太刀は、先のいくさでバラバラとなり、
大悟と逃げる途中で刀と莢(さや)のみ見つけて
拾ってきた。
新しく柄(つか)と鍔(つば)をつけて大悟に使わせていた。
だが、柄は兵衛が、鍔は菊葉が持ち、
今 ひとつになったのだ」
大悟も菊葉も まだ戸惑いを隠せないでいる。
だが、それぞれに名乗りを上げ、
菊葉が新城(しんじょう)から逃げてきたことや
桔梗のことを話した。
「では・・・妹ではないと?」
大悟が驚きの声をあげ、兵衛は葵と菊葉を見比べる。
突然、葵が 菊葉の胸にピトッと手をあてた。
「あ~~!!」
という 兵衛・大悟の声と
「ほんとだ、胸 無いわ」
という葵の声が ほとんど同時だった。
「何やってるんだ、葵!」
兵衛が叫ぶ。
「だって、私以外 胸さわって確かめられる人
いないでしょう?」
「だからって・・・し・・・失礼だろう・・・」
「何で?兵衛の弟でしょ?だったら、私の弟じゃない」
兵衛と葵が痴話げんかをしている横で、
大悟がそっと丈之介の袖をひき、耳元でささやく。
「おやじ、あの・・・母は、顔は菊葉そっくりで、
性格は葵殿に似ているのか?」
「うん、まぁそうだな。男勝りで、
太刀の腕も度胸も 男に負けていなかったな」
父の好みが よくわからない・・・。
それに 菊葉が男で、葵殿が女とは・・・
女とは どうゆう生き物なんだ?
そう思いながら 口にはできない大悟だった。
巴の龍#19
ありがとうございました( *´艸`)
「SIRIUSの小箱」ってなあに?
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弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ
巴の龍#20へ続く
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巴の龍#1最初から こちらからhttps://note.com/mizukiasuka/n/n6785ce9c010e
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