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巴の龍(ともえのりゅう)#15
「おやじ、雁崖小僧(がんぎこぞう)の群れに 囲まれている」
おびただしいほどの大量の雁崖小僧。
彼らは樹林川(じゅりんがわ)を住みかとする妖怪で、
体中がウロコでおおわれて頭に皿がある河童の仲間だ。
だが 普段は人と交わることなく
静かに暮らしている。
「大悟(だいご)、火のまわりが早い。出るしかない!」
丈之介(じょうのすけ)が叫ぶのと ほぼ同時に
大悟と菊葉(きくは)をともなった丈之介は、
外に飛び出した。
時 同じくしていっせいに雁崖小僧が飛びかかる。
次々重なって来て山のようになった。
しばしの沈黙の後、突然山の一角が崩れ、大悟ら3人が飛び出してきた。
そのまま燃える小屋を後にして、雁崖小僧の山から逃げ出す。
だが 彼らも あきらめたわけではない。
水かきのある手足で 獣のように走り 追いかけてくる。
「このままでは 追いつかれる」
大悟は走りながら 弓をつがえて放つ。
だが一頭に当たっからといって多勢に無勢。
丈之介が菊葉をかばいながらも応戦するも、後から後からわいて来て一向に減る気配がない。
「何なんだ、こいつら!」
兵衛(ひょうえ)は突然現れた妖怪に襲われて、有無も言われず太刀をふるっていた。
たまたま山をうろついていたら、この騒ぎに巻き込まれたのだ。
戦いながら中心の方を見ると
さっきの少年と年配の男、そして美しい少女が襲われている。
「しかたない、やるか」
兵衛は自ら真ん中に飛びこんだ。
「さっきの・・・」
大悟がつぶやく。
「大勢で人を襲うとは 卑怯せんばん!男・兵衛 助太刀いたす」
そこに転がるように中心部に 入って来た者があった。
「あ・・・葵、どうしてここへ?」
「馬が案内してくれた。それより、行くよ!」
言うが早いか、葵は雁崖小僧に斬りかかって行った。
巴の龍#15
ありがとうございました\(゜ロ\)(/ロ゜)/
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巴の龍#16に続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n29805e40311e
巴の龍#1 こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n6785ce9c010e
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