あなたの書いた文章は読者にどのように受け取られる?Persona Prompts を使って評価してみよう!
ChatGPTのような大規模言語モデルを使いこなすには、その指示の仕方が大切です。わたしが教えている大学でも、学生にどう実験したいのかを、どう伝えるかはとても重要です。伝え方が悪いと誤解が生まれ、意図した実験が行われないことにつながります。
同じようにAIも指示の仕方によって、返答が全く異なってくるのです。では、どのように伝えればいいのか?そのテクニックを知見化したものが「プロンプトエンジニアリング」と呼ばれ、研究が非常に盛んに行われています。
たとえば、有名なテクニックには、「Few-shot prompts」や「CoT prompts」などがあります。例を示したり、思考の流れを示してあげるという方法です。次のWebサイトでは、最新の「プロンプトエンジニアリング」のテクニックがまとめられています。
ペルソナプロンプト「Persona Prompt」
本日紹介するのは、「Persona Prompt」です。ChatGPTは指定するペルソナになったり、ペルソナを作ったすることが可能です。そして、そのペルソナとブレインストーミングしたり、フィードバックしてもらったりすることができます。
特に、わたしが便利だなと思っているのは、ペルソナにフィードバックしてもらう使い方です。文章を書いた後に、読者にどのように受け取られるのかはとても気になります。そこで、ChatGPTにいくつかのペルソナを作ってもらい、それぞれのペルソナがどう感じるのか、をフィードバックしてもらうのです。
それでは、早速、その使い方をみていきましょう。フィードバックしてもらう対象の文章は、わたしが最近担当することになったNewspicksトピックス「探検する知、創造する未来」で提供していくコンテンツの内容に関する記事です。
1. ペルソナを作成する
まずは、ChatGPTにペルソナを作ってもらいます。Newspicksの主な読者を念頭に、3人のペルソナを作成してもらいましょう。
すると、次のような3人のペルソナを作成してくれました(長いので省略して載せています)。
2. ペルソナにフィードバックしてもらう
次に、作成したペルソナにフィードバックしてもらいます。わたしが担当するトピックスに関して書いた記事の文章を提供し、どのくらい興味を持ってもらえるか、それぞれのペルソナに聞いてみましょう。
ChatGPTに与えられる情報量には限りがあるため、いくつかのプロンプトに分けて聞いていきます(文章は長いため一部抜粋しています)。
すると、3人のペルソナに関する情報をくださいとChatGPTが言ってきますので、上述のChatGPTが作成したペルソナをコピペして提供します。
3人のペルソナの情報を提供すると、Newspicksトピックスへのそれぞれのペルソナからのフィードバックを以下のとおり得ることができました。
まず最初のペルソナテックに精通した起業家・エミリーからのフィードバックです。どのくらいコンテンツに興味をもってもらえそうでしょうか?
起業家であるエミリーさんは、新しい技術についてある程度の興味をもってもらえそうです。でも、それだけでなく、自身の事業にどうやったら役立てることができるのか、より具体的な方法があった方が良いようですね。
次に、非技術系エグゼクティブのデイビッドからのフィードバックです。
デイビッドさんはあまり興味を持ってもらえなさそうです。論文やAI研究の詳細ではなく、伝統的な産業におけるAIの応用方法や、そうした仕事が今後どのようになっていくのか、どうしていけばいいのか、といった内容に興味がある、というフィードバックです。
最後に、政策立案者・マリアからのフィードバックです。
マリアさんは、わたしの探求したいという情熱に共感いただけるようでとても嬉しいですね。ただ、政策立案者としてAIが市民や、社会・経済にどのような影響を与えるかについて書くと更に興味を持ってもらえそうです。
このように、フィードバックをもらいたい文章、そしてペルソナの情報と分けてプロンプトとして提供することで、ある程度長い文章であっても、作成したペルソナからのフィードバックを得ることができるようになります。
これらのフィードバックを考慮すると、Newpicksのトピックスでは、新しい技術や論文紹介にとどまらずに、それが業務でどのように実際に使えそうなのか、それがどのような影響を与えるのか、といった視点を必ず入れることが、みなさんに興味を持ってもらえるためにとても大切ということですね。
いかがでしょうか。Persona Prompts、とっても便利ですよね。今回は既に公開した文章に関して、ペルソナにフィードバックをもらいましたが、公開する前のドラフトに対するフィードバックを重ねることで、改善するといった使い方ももちろん可能です。
他にも、そもそも何について書くといいかというアイディアの段階でも、ペルソナにブレインストーミング相手になってもらうという使い方も可能です。
ぜひみなさんも試してみてください。
▼参考文献: