バズるための条件?
先週書いたノート記事がいつもの100倍くらいのビュー数がありました。「あれっ、なんかいつもより圧倒的に読んでもらってる」と不思議に思っていたら「『今日の注目記事』に追加されました」とお知らせが届きました。
「そうか。だからバズったのか。」
すごい小さなバズりです。それでも、私が書いた記事への普段のビュー数と比べればバズりました。「バズり」というのは、ある一定の期間にいつもより大きな注目を集めることを指します。だから、note全体のビュー数と比較すると、もちろん全然バズっているわけではないのですが、わたし個人の記事の中ではバズった記事、となるわけです。
その理由はもちろん「今日の注目記事」に選ばれたからです。運営側にピックアップしてもらったお陰で、いつもはリーチできない多くの人たちに届けられ、短い時間の中で連続的にクリックされたことが、バズリにつながったのです。
普段は、フォロワーの人たちを中心に情報が伝わります。つながりを通じたいわゆる「口コミ的」な情報の伝わり方です。それに対して、サービス運営側にオススメしてもらう情報の伝わり方は、宣伝広告のような「外からの刺激」によって情報が届けられる仕組みと考えることができます。
でも、運営側にピックアップされてもバズらないこともあります。たとえば、「今日の記事」に選ばれてもほとんどの人にはクリックされず、スルーされてしまう状態です。
では、バズる場合とバズらない場合、これらの違いをつくっているのは何でしょうか?
その違いを理解するために、鳥の群れをイメージすると分かりやすいかもしれません。私の職場があるつくば市では、夕暮れになるとムクドリがよく群れを成して飛んでいます。
ムクドリが群れをつくることができるのは、近くの数羽の鳥(6〜7羽といわれています)に情報を伝え、いわば口コミ的に情報を伝えあうことで、群れ全体に情報が伝わる状態になっているからです。
口コミ的に情報が伝わる状態になっているからこそ、群れも形成でき、外敵に襲われた場合も「敵がきた!」ことが瞬時に全体に伝わり、群れ全体で回避することができるのです。
つまり、noteのようなSNSにおいても、ムクドリの群れのような情報が伝わる状態でないと、外から刺激が与えられても全体には情報が伝わず、バズリは起きないのです。
もし、SNSにおいても「ムクドリの群れ」のような状態になっているかどうかを知ることができたらどうでしょうか?もしそれが分かれば、より効果的に宣伝広告を打つタイミングが分かるかもしれません。
それを知るためのひとつの目安になるのが「揺らぎ」です。
「揺らぎ」とは、どれだけそのテーマについてSNSが「ざわついているか」を表す指標です。それも口コミ的に話題にされているざわつきです。ニュースや広告のような、外から刺激があるわけではないけれど、そのテーマについてさまざまな人が話題にしているか。その度合いが、バズるかバズらないかを決定します。
ちょっとわかりにくいと思いますので、具体例でみてみましょう。
たとえば、ALIFEというテーマに関する「揺らぎ」を計算したいとします。そのためのひとつの方法は、「ALIFE」というキーワードを使って書かれたnote記事をカウントすることです。たとえば、過去1週間の記事について、1日ごとにALIFEというキーワードを使った記事をカウントします。結果、全部で7日分のデータが集まります。
揺らぎは、この7つの値の「分散」を計算してあげることで定義することができます。分散はどのくらい値がばらついているかを表す指標です。もし、1週間全ての値が同じだったら分散は0です。値がばらついていればいるほど分散の値は高くなります。
さて。この分散の値(揺らぎ)を測ることで「ムクドリの群れ」のような状態になっているかどうかを知る目安になります。結果、外からの刺激に対して反応できる状態かどうかを知る手がかりになるのです。分散の値がある程度大きい時には、刺激を与えればそれに応じた反応があります。けれども、分散の値が小さいときは、いくら大きな刺激を外から与えても反応しないのです。揺らぎが小さいときは、いくら広告宣伝費をかけて宣伝しても意味がありません。受け取る側が準備できていないからです。
「バズった記事」はどうでしょうか?この記事のタイトルは「聞くチカラに学ぶ質問力。」です。「聞くチカラ」は、なんとなく世の中の人の関心が高そうなワードです。実際、このワードは、10万部近く売り上げているビジネス書『LISTEN』の監修をした、篠田真紀子さんがVOOX(音声メディア)で配信しているコンテンツのタイトルです。10万部近く売り上げているということは、それだけ「聞くチカラ」についてさまざまな人が話題にしている可能性が高いわけです。であれば、「揺らぎ」の値も高くなっているはずです。おそらく「質問力」についても同じ傾向があるのではないかと思います。
聞くチカラ、そして、質問力、どちらも「揺らぎ」の大きいキーワードについて語っている記事だから、外からの刺激に対して反応できるポテンシャルを持っていた、と解釈することができます。
そこで興味が湧いてくるのが、「じゃあ、揺らぎって何が作っているの?」ということです。
それについてはまだ分析中で、決定的な答えは出ていません。でも異なるコミュニティがそれぞれ話題にしているという状態なのでは?というところがみえてきています。コミュニティが違うと、話題にするタイミングも異なります。それが分散を大きくしている原因ではないかというわけです。そして、いろいろなコミュニティの人が話題にする前には、あるひとつのコミュニティ内でざわつき始めるという現象もみえています。その話題を掴むことができれば、それはまだみんなが話題にしていない、近い将来、バズりを生み出す可能性があるテーマです。
一方、揺らぎがある大きさになっているときは、外からの刺激の大きさによって、どのくらい大きなバズりになるかが決まります。つまり、揺らぎがある程度大きくなってしまった状態では、どのくらい大きなバズリになるかはパワープレイが決めるのです。外からの刺激が大きいほど、反応も大きくなります。宣伝広告をたくさん打てばその分バズるとか、インフルエンサーであればあるほどバズリが大きいとか。そんな状態です。
ですのでその状態になる前に、つまり、揺らぎが大きくなっていて、近い将来バズりそうなテーマを見つけられれば、パワープレイで勝てなくてもひょっとしたらバズりを連発できるのかもしれません。
ということで、バズリをつくるためには次の2つの条件が必要になるのです。
受け手側の準備
外からの刺激
ちなみに、SNSも状態によって外からの反応が違うという点は、SNSを生命的な視点(つまりALIFE的視点)から分析しようと思ったモチベーションにもつながっています。
でも、もちろんバズることより大切なことが私はあると思っています。それは、私にとってはひとりでも多くの人にALIFEという研究分野の面白さを伝えることです。今回の記事を読んでSNSを生命的な視点から分析して理解する、ことに少しでも興味を持ってくださる方がいれば幸いです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
ciao!
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