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プロンプトで「シンプルな文章」を書く

ChatGPTは、指示を明確にし正しく導くことで、優れた文章を書くための優秀なパートナーになる。読みやすい文章を書くために必要なテクニックをプロンプトにすることで、よりよい文章をつくっていこう。

多くの文章術の本で基本とされているのが、「文章はシンプルに」ということだ。たとえば、100冊の文章術を集めて読みやすい文章を作成するために分析した本『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』では、100冊のうち53冊に「シンプルに書くこと」の大切さについて記されているとのことだ。

そこで、上述の本の中で記載されている、次の3つのルールをプロンプトとしてChatGPTに指示し、文章をシンプルに校正してもらおう。

  • 余計な言葉はとにかく削って、簡潔に

  • 1文の長さの目安は、「60文字」以内

  • ワンセンテンス・ワンメッセージ

これら3つのルールを組み込んだプロンプトはたとえば次の通りになる。

{命令}
文章の文体は保持しながら{条件}を満たすように{入力}の文章を校正し文章をシンプルにしてください。

{条件}
1. 削っても意味が変わらない言葉を省略する
2. 1文の長さは「60字以内」とする。60字以上の文は分ける。
3. ひとつの文に入れる内容をひとつに絞り、「一読で理解できる文」とする

{入力}
新型コロナウイルスというのは、人に感染する7番目のコロナウイルスだ。世界中のいたるところすべてで、とても大きな被害が発生する状況が続いているのです。

GPT-4のプロンプト(入力文は『文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』より引用)

余計な言葉はとにかく削って、簡潔に

この入力文章には、次のような削っても意味の変わらない言葉が多数含まれている。

・新型コロナウイルスというものは→新型コロナウイルス
・世界中のいたるところすべてで→世界中で
・とても大きな被害が発生する状況がつづいているのです→大きな被害が出ています

『文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』より引用

これらの言葉を省略することで、伝わりやすくリズムの良い文章になる。

(入力)

新型コロナウイルスというのは、人に感染する7番目のコロナウイルスだ。世界中のいたるところすべてで、とても大きな被害が発生する状況が続いているのです。
(人による校正)
新型コロナウイルスは、人に感染する7番目のコロナウイルスです。世界中で大きな被害が出ています。

『文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』より引用

それでは、プロンプトを実行し、読みやすい文章となるかみてみよう。

{出力}
新型コロナウイルスは人に感染する7番目のコロナウイルスです。世界中で大きな被害が続いています。

GPT-4の出力

結果は、意図通り、余計な言葉が省略され読みやすい文章となった。人が校正した場合と比べてみても遜色ない。

1文の長さの目安は、「60文字」以内

次に、1文が長いため読みにくくなっている文章を入力してみよう。「人による校正」で示すように、2つの文に分け、余計な言葉を削ることでシンプルな文になる。

(入力)
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して、広く公平に課税されますが、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しないしくみが摂られています。

(人による校正)
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供に対して、公平に課税されます。生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がか
からないしくみが摂られています。

『文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』より引用

プロンプトを実行した結果は次のとおり。

{出力}
消費税は商品やサービスの取引に公平に課税されます。生産、流通の各段階で、税が二重三重にかからないよう、累積しない仕組みが取り入れられています。

GPT-4の出力

文の分け方は人による校正結果と異なるが、2文に分割され、余分な言葉を省略やより分かりやすい表現に変更することで、よりシンプルな文となった。

ワンセンテンス・ワンメッセージ

最後の例では、1文が長く、複数の情報が盛り込まれた文を入力としてみよう。人による校正の結果、ひとつの情報のみを盛り込んだ文から構成され読みやすくなっている。

(入力)
猫は犬に比べて暑さに強い動物なので熱中症にかかりにくいと思われていますが、高温の部屋に閉じ込められたり、長時間水分が取れないでいること、呼吸困難、足元のふらつきといった熱中症の初期症状が起こり、重症になるとけいれん発作や意識の喪失を起こし死に至る場合があるので、体内の水分が減らないよう家中のいたるところに水を入れたお皿を複数用意して、いつでも好きなときに新鮮な水が飲めるようにしておきましょう。

(人による校正)
猫は犬に比べて暑さに強い動物です。それでも、高温の部屋に閉じ込められたり、長時間水分が取れないでいると、熱中症にかかりやすくなります。初期症状は、呼吸困難、足元のふらつきなどです。重症になるとけいれん発作や意識の喪失を起こし、死に至る場合があります。熱中症の予防には、体内の水分が減らないこと。好きなときに新鮮な水が飲めるように、水を入れたお皿を複数用意しておきましょう。

『文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』より引用

この入力に対するプロンプトの実行結果は次のとおりだ。

{出力}
猫は犬に比べて暑さに強いため、熱中症にかかりにくいと思われています。しかし、高温の部屋に閉じ込められたり、長時間水分を取れなかったりすると、呼吸困難や足元のふらつきなどの熱中症の初期症状が起こります。重症化するとけいれん発作や意識喪失を起こし、死に至る場合もあります。そのため、家中のいたるところに水を入れたお皿を用意し、いつでも新鮮な水が飲めるようにしましょう。

GPT-4の出力

⻑かった1つの文が3つの文に分けら、ワンセンテンス・ワンメッセージに絞られ、一読で理解できるように改善されている。だが、人による校正結果の方がさらに読みやすくなっている。全体の文章が整理され、それぞれの文が順序立てられているからだ。そこで、全体の文章の流れがスムーズになるような条件をプロンプトに加えてみよう。

{条件}
1. 削っても意味が変わらない言葉を省略する
2. 1文の長さは「60字以内」とする。60字以上の文は分ける
3. ひとつの文に入れる内容をひとつに絞り、「一読で理解できる文」とする
4. それぞれの文が一つの情報を伝えるように整理し、順序立てる。

GPT-4のプロンプト

条件を追加することで、文の順序が整理されさらにシンプルで読みやすい文章となった。

{出力}
猫は犬に比べて暑さに強い動物です。それでも、高温の部屋に閉じ込められたり、長時間水分が取れないと、熱中症にかかりやすくなります。初期症状は、呼吸困難、足元のふらつきなどです。重症になると、けいれん発作や意識の喪失を起こし、死に至る場合があります。熱中症の予防には、体内の水分が減らないことが大切です。家中のいたるところに水を入れたお皿を複数用意し、好きなときに新鮮な水が飲めるようにしましょう。

GPT-4の出力

ここでは、文章はシンプルにするルール取り入れ、命令、条件、入力から成るプロンプトの作成例を紹介した。ChatGPTを使った文章の校正は、いつでも文章の校正をしてくれる優秀な執筆のパートナーとなる。

ぜひ、学校のレポート、卒論の中間発表などの文章校正にぜひ活用してみてほしい。

それでは、また!ciao。

(top image credit: istock Olga Ubirailo)

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