何事にも型があるのだな。
先日、ある仕事に使うChatGPTに入力するプロンプトを書いていたときに思ったことです。「型」とは、「一連の手順や形式、規範的なパターン」のことを指します。論文のような文章にもある種の「型」が存在します。そして、それはChatGPTのプロンプトも同じことが言えます。
プロンプト作成の基本型とその要素
ChatGPTのプロンプトの型は5つの要素でできています。
ペルソナ(Persona): AIに役割を与える。
命令(Instruction/Action) : モデルに実行させたい具体的なタスクや指示。
条件(Condition/Context/Rules): 追加の仕様/ルールを提供。
入力(Input): 必要な情報やデータを提供。
出力(Output): 出力の種類または形式を指定。
たとえば、童話『シンデレラ』を要約するというタスクを考えてみましょう。
単純なタスク
もっとも単純なプロンプトは、命令のみを書く場合です。
その結果、次のように『シンデレラ』の内容を要約した文章を作成します。このように単純なタスクであれば、命令のみでも十分なことが多いです。
少し複雑なタスクには『型』が有効
しかし、タスクが少し複雑になってくると、「型」を使った方がより効果的にChatGPTに指示を伝えることができるようになります。たとえば、童話『シンデレラ』の要約を論文風に作成させてみましょう。
その結果、次の通り、論文風の要約を作成します。
しかし、「論文風」が何を意図しているのか指示が明確でないため、論文の要約に含んで欲しい次の要素を全て含む文章は作成されませんでした。たとえば、作成された文章では、「目的」や「結果の意義や影響」についての説明が不足しています。
▼論文の要約に含まれているべき6つの要素
現状や問題の説明
問題の結果
目的
方法や手段
結果や成果の説明
結果の意義や影響
明確な指示のための型使用
そこで、より明確にChatGPTに指示を伝えるために『型』を使ってプロンプトを作成してみましょう。
ペルソナとしては、物語の要約を作成することが得意そうで編集経験の豊富な絵本出版社の編集者を指定しました。命令では入力に対して条件を満たした出力をするように指示しています。条件では論文風の要約に含まれるべき要素を提供しています。最後に、入力で、『シンデレラ』を指定し、テキストによる出力を指定しています。
結果は次の通りになりました。
このように条件の指示に従った文章が作成されました。しかし、論文風の要約としては少し長すぎます。そこで、条件の部分に文章のテンプレートと例文を示すように変更してみましょう。
その結果、次のように、より意図した論文風の文章に近づく結果を得ることができました。
プロンプトの分解とその利点
「型」に当てはめてプロンプトを作成することによって、タスクもより明確になり、要素に分解されているため、少し異なる出力を作成する際にも、変更しやすくなります。たとえば、ペルソナを変更して、村上春樹風の文章にしてみましょう。
その結果、次のように村上春樹風の文章で論文風の要約が作成されます。
このように要素に分解してプロンプトを生成することで、同じように入力を変更したり、出力形式を変更したりといったことも容易です。
ぜひ試してみてください。
それでは、また! ciao.
参考文献