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情報教育の現状と課題:拙速な入試改革への懸念

情報社会が進展する中、情報教育の重要性はますます高まっています。しかし、教育現場の整備が不十分なまま進められる拙速な改革には、疑問の声が上がっています。私自身、情報教員免許を取得し、今年度は地元福井で私立・公立の学校で教員をしています。11月中旬、大学共通テスト対策を進める中、大学教授から教科「情報」に関する意見書が発表されましたので、注目したいと思います。


11月18日、「入試改革を考える会」が署名を提出

11月18日、武蔵大学の大内裕和教授が代表を務める「入試改革を考える会」は、文部科学省に対してオンライン署名483筆を提出しました。これは、2022年6月の署名提出に続き2回目の行動です。同会は記者会見で次のように訴えました。

「受験生の負担を増やしてまで強行する必要があるのか疑問。教育体制が不十分な現段階で共通テストに加えることはおかしい」

この発言は、現場の準備状況と制度改革のスピードに対する懸念を象徴しています。

情報教育を担う教員の現状

文部科学省の2023年度調査によると、公立高校の情報科担当教員4,411人のうち、192人が「臨時免許」または「免許外教科担任」の許可を受けた教員でした。これには、正式な情報の教員免許を持たない教員が含まれます。

  • 免許外教科担任:124人(2022年度は560人)

  • 臨時免許状保持者:68人(2022年度は236人)

2020年度には全体の24.3%(1,233人)が臨時免許や免許外教科担任で構成されており、年々改善は見られるものの、一部の自治体では計画通りに進んでいない状況も明らかになっています。

文部科学省HPより

地域格差の問題

2022年度のデータを見ると、都道府県ごとに情報教員の配置状況に地域格差があることが指摘されています。一部地域では、必要な教員を確保することが難しく、教育の質に影響を及ぼしている可能性があります。

文部科学省HPより

教育改革の行方

情報教育の強化は時代の要請であり、急務である一方で、教育現場の負担や生徒の学びを支える体制整備も不可欠です。改革を進める際には、現場の声に耳を傾けながら、持続可能な形での教育充実を目指す必要があります。


私は一般企業で勤務する傍ら、非常勤講師として情報教員をしています。このような地域人材を活用することで、情報分野の専門性を持った指導者が教育現場に携わることが可能になるのではないかと考えています。自治体が主導となり、地域人材の活用をさらに促進していただきたいと思います。

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