戦い in the dream
ルイは、大学に入ってからは大学の近くのマンションに一人暮らししていた。
実家から通えない距離ではなかったが、長時間電車に毎日乗るのが苦痛だったので、一人暮らしを選択した。
一人暮らしはいつでも自由気ままに遊びに行って、いつでも帰って来れて気楽だった。
だけれども、夜は孤独を感じてしまって辛い時もあり、孤独を紛らわすために近くのバーでアルバイトしていた。
バイトも大学も無い休日、料理をするのが面倒だったので、カップラーメンをすすって、テレビを見た後、眠りについた。
突然、強い金縛りが全身を襲った。
「来たな・・・」
全く身動きがとれず、息が苦しい。
しばらくすると、自分の体から魂が抜けていく感覚がした。
「またか・・・」
こうなると、戦わなければならなくなるのだ。
部屋の天井辺りに魂となって浮かびながら、ルイは眠っている自分を見ていた。
物凄い殺気を感じていた。
不意に、背後に人の気配を感じた。
「!」
振り向くと、自分よりも一回り大きい、顔だけが恐竜のような人間?が殴りかかってきた。
間一髪で避け、速攻で殴り返す。
敵はルイのパンチをするりと交わし、また殴りかかってくる。
腹を狙って攻撃するとヒットして、敵は少し怯んだ。だがすぐに体勢を整えて襲いかかってきた。
ルイは必死で避けた。棚の上にあるぬいぐるみや小物が全部床に落ちた。
また敵が殴りかかってきた。顔面にくらってしまった。
「!」
痛みが走った。体にも何発もくらった。
鋭い爪で頬を思い切り引っ掻かれた。体も。
敵わない…このままじゃ殺られる。
危険を感じたルイは窓をすっと通り抜け、マンションの屋上まで真っ直ぐに飛んで行った。
すかさず敵が追ってくるが、ルイは光の速さで逃げた。
隣のマンションの屋上まで5m以上離れていたが、思いっきりジャンプし、次々とビルの屋上に飛び移って、西へ西へと、一気に走っていった…。
朝目覚めると、ルイは疲労困憊していた。
いつもこんな風に戦っていたのだ、夢の中で。
良かった…目が覚めて。
ホッと安堵した次の瞬間、いつもとなにか違うことに気がつく。まず全身が痛い。
そして部屋を見ると棚にあったものが散乱していた。
「…!?」
まさか…
おそるおそるルイはベッドから出て、鏡を見た。
そこに映っていたのは…傷と痣だらけの顔だった。血もついている。
「え!!!???嘘でしょ…!?」
ルイはショックでその場に崩れ落ちた。
恐怖で体の震えが止まらない。
「夢じゃ…なかったんだ…ハハッ、ハッ」
ショックを超えて、ルイは笑い始めた。
「ハハハハッ!こんなこと、あるわけないのに!ハハハハッ、誰のイタズラ?ハハッ」
時計を見ると、もう大学に行く時間だった。
「ヤバい…、もう行かなきゃ!」
急いで傷の消毒をして、バタバタと準備をして部屋を出た。
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