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ちっぽけな素材をかき集めて。

自粛ムードがゆるゆると緩みつつある今、飲食店の取材が増えてきました。

取材は1時間で終われば早い方で、オープンを控えた店舗さんなどは2時間を要することもあります。

この案件は、店舗情報などの固定化された情報:こだわり=7:3ぐらいの割合で文章を書きます。

これは飲食店に限らないのですが、こだわりや特徴を伺っても「?」の顔をする人がいる。そして細部まで話を引き出していくと、それってすごくアピールポイントになりますよっていうことが結構ある。もったいないなぁと思う。

聞き出す情報量は、原稿の質や書くスピードに大きく影響してしまうので、わたしは聞き方を変えたり、話しやすい雰囲気をつくったり、対象者の本音を探ったりしながら、あらゆる手段を駆使して取材する。

でも、情報はそこそこに「適当にうまいこと書いておいてね」で終わっちゃう場合もある。

そんな時、飲食店の場合どうやって他店との差別化を図ろうかと悩みに悩む。書くスピードは落ちてしまうし、ありきたりな表現になりがちなのも悩みのタネだ。

だからわたしは、どんな些細なことも話してくださいとお願いする。積極的に話をしたがらない人には、相手が嫌がらない程度に時間をかけて話を進めていく。

使える素材は、意外なところに落ちている。お客さんとの会話で店主の人柄を汲み取ることができるし、取材先でたまたま起きた出来事からネタを拾えることもある。また、雑談から思いもよらぬいい話を引き出せることも多いのだ。

今後はオンライン取材なんかが増えてきて、skypeやzoomで「はじめまして」を交わすことが当たり前になるかもしれない。

でも、リアルな場でしか得られない情報はきっとあると思う。その場の空気や香りも表情も、その一つひとつが文章の大切な素材になるから。

そこに眠っている宝物を、試行錯誤してかき集めていくこと。それが取材の醍醐味だと思っている。

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