#131 馬に乗った真っ裸のお姉さんと、おとこのこは3歳でも男だった話
ゴディバのチョコはイノセントな美味しさだけど、裸で馬にのっている勇敢な女性は実在したのです。
11世紀の英国の伯爵夫人“Lady Godiva” レディ・ゴディバである。
レディ・ゴディバの勇気と他者への深い愛に感動したベルギーの夫婦が、チョコレート屋さんを始めた時、ロゴとして使ったというわけだ。
同じように、地域の祭りでその『勇気と愛』を再現しようとした村がある。
私の住まいの近隣の村だ。
初夏のうららかな日、
パブの外のテーブルで、私たち親子4人は飲み物を飲んでいた。
そこへ、中年の男性から丁寧に何かの指示を受けていた長い金髪の女性がいた。なんといおうか妖艶な感じ。
彼女の顔は今でも忘れていない。
そして今にして思えば、彼女は身体に不要な線や跡が残らないような、ほぼバスローブに近いようなゆるい身なりをしていた。
ただならない感じ・・・
その日はVillege Fair (村祭り)。普段は静かな村が大勢で賑わいを見せる。
パブを出て、村の中を何をするでもなく散策していた私たちは、すぐにその後、"Lady Godiva" が馬で村を練り歩くということを知ることになるのだ。
パッカパッカパッカパッカ‥‥
こののどけき村のど真ん中を一糸まとわぬ姿の金髪女性が馬に跨る後ろ姿がそこにあるではないか。
マジか‥‥
これがカルチャーなの?
30代で子育て真っ只中の私はちょっと真面目すぎたのかもしれない。
夫に、「これは私の好みではないわ。カルチャーってこういうもんなのか、自分には理解できないし‥‥」
というかむしろ「不快」に近かったと思う。Lady Godivaの尊さを否定したくはないけれど‥‥
英国に住み始めたその年の1999年のことだった。
あまりに複雑な気持ちを、私は抱えきれなかった。
夫が後ろ髪を引かれていたかは定かではないが、(いや、きっとそうだろう)私たちは人込みと反対のほうへ向かった。
と、その時だった。
「見る~!前から見る~! ま・え・か・ら~~~」
そう言って私たちの手を振りほどく3歳児がいた。うちの息子だ。
しかも後ろからしか見ていない息子が言ったのが、
「ちゃーりーでぃもっくみたいだぁ~」という言葉だった。
説明させていただこう。チャーリー・ディモックというのは英国で当時とても人気のあったガーデナーだ。
彼女は当時30代前半で、化粧っ気もなくいつもジーンズ姿で庭仕事をする姿が、テレビの画面越しの国民から愛された。
本当に自然体で飾らない性質の延長で、土を起こす姿の彼女は決まってノーブラだった。
この素朴なガーデナーがしゃがんでも立っても、Tシャツ越しにふくよかに揺れる乳房に国民は釘付けになっていたはずだ。
そんな彼女をいやらしいと感じる人は多分いなかった。あまりにも素朴で自然で、本能的に目が離せないのだ。
そのチャーリー・ディモックの名をそもそも息子が知っていたことに驚いた。
そして、こんな幼児にでも女性の曲線や乳房への憧憬がひとつの線で結びついていたことに、今更ながら感心してしまう。
可笑しいのは、当時5歳の娘は裸の女性が馬に乗っているのを見て、嫌悪感を示したということだ。
つまり、娘と私は家へ帰る方向へ動いたのに、夫は鼻の下を伸ばし、息子は女性の裸体を見届けたいと叫んでいた。
それがあまりに必死で素直で、今思い出すと可愛らしいやら可笑しいやらで、ニヤニヤが止まらない‥‥
結局、私たちはLady Godivaを見に行ったと思う。
きっと私の中で『なにも履いていないのに、馬に跨って、「前」は大丈夫なのだろうか‥‥』という疑問、いや心配が解消してなかったからかもしれない。
安心してください。
履いて‥‥ませんでしたが、ちゃんとサドル部分にガードがあって、スカーフのようなものもハラ~っとかかっていました。ホッ
そのお姉さまは、片手を上げて胸をのけぞらせるようなサービスポーズもやってのけ、嫌々やらされているという感じではありませんでした。
娘のほうがこういうことに敏感なので、私の袖をひっぱっていたと思う。
なぜこんな23年も前のことを思い出したかといえば、先日あの村を車で通ったからだった。
しかもその日は長い週末に帰省していた長男 (張本人) も同乗していたのだ。みんなで大笑いし、本人もそれを聞かされ愉快でたまらなかった様子。
いくら幼くても、おとこのこが「男」であることは間違いなくて、女の子とは感じ方が違ったという興味深いエピソードであった。
全裸の女性がたったひとりで群衆の視線を集める‥‥
今の世の中ではあり得ないような気がする。
今の自分ならば、すこしは柔軟に受け容れられたと思うのだけれど‥‥
余談になるが、この下書きを書いていたら年配の友人からLINEのチャットが入った。
彼女に「Lady Godivaをどこかの村のFairで見たことがある?」と訊いてみたところ、まさかの返事が返ってきた。
あの村の1998年と1999年のLady Godivaは、彼女の家にお掃除に来ていた女性の娘さんだったということだ。
当時はその肢体が商売道具だったけれど、その後アメリカでイングリッシュパブを開き、今はスペインでタパス・バーをやっているということまで聞けてしまった。しかもお孫さんまでいるなんて、すっかり先を越されている!
尚、文中のVillage Fairの画像は下記の"The Village"サイトのなかの一枚です。英国の村の暮しが美しい写真の中に溢れています。写真だけのページですのでどうぞご覧になってみてください。
さて、
GODIVAはベルギーのチョコレート会社になります。個人的にベルギーとかスイスのチョコレートがぶっちぎりで美味しいと思います。
ですが、Lady Godivaは英国の人でした。ですから、発音はゴディバではなくゴダイバ。
「レイディ ゴダイヴァ」という感じの発音になります。
お台場でもないよ。ゴダイバ!
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