#230 出発に際し、英国紳士について考える
なんだかんだ二年ぶりになった日本帰省のため、ロンドン・ヒースロー空港に向けて電車に乗っている。
前回の記事が1ヶ月前ということなので、今日のログのようなものを残したい。
今ちょうど海岸線の真横を走る電車の中だ。海の水面に日が射してキラキラしている。
それにしても雨が多かった…
過去最高の雨量だったこの冬。The wettest February だったかMarch だったか騒いでいたが、いつからいつだったか覚えていない。ずっと雨だった、というのが私のまとめだ。
今になって… とちょっと恨めしいが今日は晴れ。
車窓から満開の桜が見える。
ここ一ヶ月ほど夫が家でトレーニングをしている。彼は設備を気にすることもなく、家にある鉄製のやたら重たい物をウエイトにしているようだ。毎朝晩ウエイトを持ち上げながらスクオッティングなどをやっていた夫は最近ちょっとひねりに失敗したのか、腰を痛めた。
それで、いつもならひょいひょい持ち上げてくれる私の23kg分詰まったスーツケースは持てない体になってしまった。
二階から玄関まで、家の外の二箇所の階段、車のブーツ(トランク)に載せる、下ろすまで全て二人でコワゴワやった。
最寄りの駅は無人駅だ。そんな駅にリフト(エレベーター)などあるわけもない。自分でなんとかするから、と夫を返し、階段を一段一段大きなスーツケースをジリジリと上げていく。思った以上に大変だ。夫が当たり前にやってくれていたことの有り難みに気づくのがこんな時だ。
私がどんだけぶざまだったのか、はたまた見いてられないほど憐れだったのか、向こう側のプラットフォームから “Can I give you a hand?” (手伝おうか?)と声をかけてくれる男性が。
”That would be great!” (それはありがたいです!)と応えたのはいうまでもない。
そのTシャツとジーンズのおにいさんは走って来て私のスーツケースを横向きに取り、ひょいひょいと反対側のプラットフォームに運んでくれた。一瞬か!というほどの速さで…
よく英国紳士っていうけれど、イギリスの男性はこれだから好きだ。
山高帽とステッキではない。ジェントルマンは、『女性を助けるのが当たりまえ』と躾られた男性だ。女性といったが、もちろん弱者、高齢者などを含んでいる。
家庭内のみでなく『Ladies first』(レディファースト)は社会の中で培われているという気がする。
日本では最近コンプライアンスに敏感になるあまり、性差別や年齢差別になってはいけない、と手を差し伸べにくいという人があるかもしれない。
でも日本で手を差し伸べてもらったことはずっと以前からなかったのでコンプラのせいにもできないと思う。
私の二人の息子達も、今朝のような場面に居たらあのおにいさんと同じことをしていてほしいと思うし、いや
「しなかったら縁を切るぞ〜」と思っている。
もちろん、Ladies first なんてかえって屈辱だと感じる女性もいるにはいると聞くので、これはあくまでも個人的見解だ。
男の子には、女の子を大切にすることを教えたい。どうしたって身体的体力の差があるのだから(あくまでも一般論として)。男の子には、女性を自分の母か姉・妹だと思って接すればいいというのが私の判断基準のようなものかもしれない。
こんなことをつらつらと考えながら、自作のおむすびを電車の座席で頬張った。
しばらく留守にする間、イギリス人の夫がひとりでは触りもしないであろう食品を整理してきた。
少しだけ残っていた天かすや醤油付け昆布などを全部具にしたおむすびのあまりの美味しさに、2個たて続けに食べてしまった。
食欲旺盛。
日本が待ち遠しい。
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