#253 冬のコーンウォールで北欧雑貨店とか明日のパンツとか
コノエミズは悩ましい。「行ってきま〜す」の前回記事の続編を書くべくnoteに向かっているのだが、さてどこから書こうか‥‥と。
イギリス人によくこんな質問で切り出されることがある。
“I have good news and bad news. Which one do you want to hear first?”
(いい知らせと悪い知らせがあるの。どっちから先に聞きたい?)
私の (もしそう呼べるものがあるなら) 旅行記は good news から話そうか、bad news から話そうか…
さてさてさて
はい、もう気持ちがまとまらないので、順番に書いてみます。
イギリス国内で私たちの週末ホリデー「Go露天風呂」が始まった。いつものことだが、私より早く準備が終わる夫は早く出発したくてウズウズし出す。私がまだ詰め終わっていないカバンや籠をどんどん車に積んでいくのだ。まだだ、と言っているのに…
追われるように、それでもなんとか無事荷物を積み入れて出発。
途中、私の住む県からコーンウォールへの県境を越えるために渡る橋がある。
画像の中央と左側、2つの橋に書かれた文字をクローズアップで見てみてほしい。
実は今頃になって、JIN-仁のドラマの全エピソードをNetflixで観たばかりだった。現代の医師が文久2年(1862年)の江戸にタイムスリップする話だったので、それがドラマであろうが何だろうが、幕末の日本のイメージが私の頭から離れていなかった。
大火があると一晩で町の一部がごっそり無くなったような時代、世界の反対側ではこんな橋が作られていたというのか。ここを通るたび、今更ながらその『差』に感嘆してしまう。
橋を渡ればコーンウォール。最初に立ち寄ったのはここ。
「Reclamation」には、廃物の再生利用という意味があり、yardと呼ばれる屋外に、廃物資源が積み上がっているような場所だ。ものを簡単に捨てないイギリスではこういう場所は結構見つかる。
入り口右側には大きなストーヴがごうごうと音を立てている。暖か~い。
リクラメーションヤードはサルベージヤードとも呼ばれる。以前にもサルベージヤードについて書いた記事があるので、こういうのがお好きな方はこちらも‥‥
それにしても私、これが欲しかったなぁ。
薬局とか小売店の奥で使われていたみたいな、引き出しだらけの棚。
もし古い物なら、よくここまでサンディングして綺麗になったものだと思うし、リプロダクションだったとしたら良い出来すぎる。
引き出しひとつひとつに用途を書いて、ほくそ笑みながら物を入れ分けてみたい。
STAXを出て、次に向かったのが私たちが好きな小さな町、Lostwithiel。
町を訪れるとわかるのが、そこに良いコミュニティーがあるかどうか。何がどうとはっきり説明はできないのだが、この町からは共同体精神のようなものを感じるし、いつ来てもなぜだかホッとする。
中心部にある教会なのだが、外壁の模様!積み上げられた石の形が複雑すぎやしないだろうか‥‥
この町に、2018年にオープンした北欧雑貨の店がある。
古くからある他店のオーナーが、「インスタグラムっちゅーんかい?あれ見た人たちが全国からやって来るんだよぉ」と感心しながら教えてくれたのは何年前のことだっただろうか。
これなら自分も作れそう、と思って撮らせてもらったランプシェード。
針金の輪っかに長さを変えて舌みたいな形に切った和紙を貼ってあるだけ。
天窓のある奥の部屋のディスプレイ。シンクのところに小さく張り紙があり、蛇口などがまだ取付工事中とのこと。
この店の名は "Alice in Scandiland". (「不思議の国のアリス」をもじって「北欧の国のアリス」)
北欧雑貨好きなら彼女のインスタグラムは何時間でも見ていられると思う。
店主のアリスさん。来店時、作品を卸しにきた陶芸家と会話中だったので、私たちは先に店内を観ていたら、
「あら、あなた方にハローも言ってなくてごめんなさいね。ハロー、ハロー」と。
こんなに人気店になってもブログでいろんな賞をもらっても、来店したひとりひとりを大切にしているのを感じた。
彼女のブログやインスタグラムが人気なのは、店の商品を宣伝しているだけでなく、自宅のインテリアや自身のライフスタイルを紹介しているからだと思う。
Lostwithiel には川が流れていて美しい。川沿いにはレストランもカフェもないのに、誰もがピクニックをできるよう、テーブルがいくつもあるのがいい。
実は私たちも途中で天然酵母パンの店に寄ったり、デリカテッセンでコーニッシュチーズやサラミなど買っていたので少し早いランチを楽しんだ。
そして、いざシェパーズハットへ向け移動中、車からこんなものが見えたので急いでパシャリ。
パブの2階部分にインフレータブル(空気で膨らむ)サンタクロースが、ビールジョッキを持って横になってる。(括りつけられた感満載なのに、ものともせぬ笑顔で‥‥)
いよいよホリデー用の野原に到着。管理棟の横に駐車し、シェパーズハットまで運ぶ荷物やら薪やらを一輪車に積んでいく。
ひとつひとつ車からバッグを出していったら、あろうことか私の旅行カバンだけがない。
ここで私は2泊3日分すべての着替えが入ったそれが、車に積まれてなかったと悟るのだ。
「こんなことあるぅ !?」
まだ始まってもないホリデーが「終わった‥‥」と思った。
ホリデーなのだから、それなりに思いを込めて詰めたんだよ。
これ着てあれ着て、寒かったらこれね、って‥‥
もはやパジャマもなければ下着の替えもない。
「(夫が)勝手に車に積んだから、入れてくれたと思ってたよ。ちゃんと自分で確認できなかったんじゃん‥‥」
そう言って彼だけのせいにしたかった。
だけど、自分の荷物はやっぱりどう考えても自分の責任なのだ。
く、くやしいけれどそれを誰にもなすりつけられないし、恨めしがってもケセラセラでいっても同じ人生。
そう達観するしかなかった。
幸い入りきらなかったダウンジャケットを夫のカバンに入れてもらい、化粧水やら歯ブラシやらの必需品はすべてリュックに入れていた。寒さはしのげるし、歯も磨ける、「むしろラッキー」と、気持ちを切り替える。
ふたりで一輪車を押しながら、フィールドまでの小径を歩く。
「今履いてるのは今晩洗って干すからさぁ、明日のパンツ貸してね」
私、ほんまもんの夫のパンツを借りました。
以前なら思いつきもしなかったそんなことが抵抗なくできたのは、前提にこれがあったからです。↓
‥‥本題は明日に続く‥‥