【恋愛小説】私のために綴る物語(19)
第四章 うたかたの京都(4)
「これを着るんだ」
そう言ってきよはるから渡されたのは、シースルーの本当に薄いタンクトップだった。
またバスローブの紐とかなりの数の手拭いを、ベッドサイドテーブルにおいていた。
多香子を舐め回すように見て、手拭いを二本つなげると胸の下に縛り付けた。タンクトップに気持ち余裕をもたせると、膨らみの上をバスローブの紐で縛り、この二本が離れないようにしていた。
そして、造り付けの鏡台の前に立たせると足を広げ、尻を出し、手で体を支え、鏡から顔を背けてはならないと言った。言われたとおりにすると、差し込まれようとするのがわかった多香子は、ふっと息を吐き迎え入れていた。
「あおい、ちゃんと顔を上げるんだ。これが男を迎え入れて、情欲を掻き立てる女の顔だ」
多香子は目がうつろになり、涙をためているこの女が、今の自分だと受け入れた。しかし、この男の思うままに落ちたくないと、声を出さないと決めた。
鏡台で体を支えているため、奥深く貫かれていた。流石にそういう時はうっと声が漏れた。それ以上に感じている時の声が、出てこないことに、きよはるは苛立ち始めていた。
「声はあげていいと言ったはずだ。声を聞かせるんだ」
多香子は首を横に振っていた。
しかし、官能は広がり、薄物が肌に触れることでも十分に感じていた。特に胸は一層張り出して、蕾がそれに当たると身体が震えていた。
「いやいや、壊れちゃう」
「そんなに簡単には壊れない。だが我慢するほど辛くなるぞ」
涙を流して、汗とでぐずぐずになったメイクで、苦悶の表情を浮かべているのを見ながら、また首を振っていた。
多香子が目を閉じてこらえようとしたのを見て、今度は髪の毛を掴み顔を持ち上げていた。
「うっ、痛い」
「顔を見ているんだ。目を閉じたら見られないだろう」
「あっ、これが、わたし」
持ち上げられて、鏡を見つめると、多香子は微笑んでみた。
艶然としたその表情に、きよはるは見とれた。
「あおい、きみって……」
今度は勢いよく差し込むと腰を回していた。手は胸をなで、腹と来て、茂みの敏感なところを優しく撫で回していた。もう片手は多香子の腰を抑えると、きよはるは腰をぶつけるように激しく突き刺していた。その時に多香子の敏感なところもきつくつままれていた。
きよはるがうっあぁと声を上げると同時に、多香子は全身に電気が走ったような痙攣をして、形をなくしていた。足腰はきよはるに支えられ、上半身は台にもたれかかることでどうか崩れ落ちずに済んでいた。
きよはるは多香子をベッドに運ぶとゆっくりと横たえて、頭をなでていた。
「あおいの強情さにはお仕置きが必要だ。なにしろわたしをイカせただけでなく、声まで上げさせたんだ」
多香子の手を縛り、ヘッドボードにくくりつけ、足は開かせて閉じないようにベッドの足に縛り付けていた。その、ことの名残で時おり波打つ身体を見ながら、きよはるは酒を飲んでいた。
うぅんという声で、多香子が目覚めたのに気がついて、冷えたお茶を持って近寄っていった。
「喉が渇いているようだね」
きよはるが抱きかかえて起き上がらせると、ゆっくりとお茶を飲ませていた。
「もう、結構です。あの、これは」
多香子は手足の自由が利かないことに困惑していた。
きよはるはさっきの優しさを引っ込めて、冷たく言い放った。
「わたしをイカせてくれたお礼。あおいに奉仕してやる」