【恋愛小説】私のために綴る物語(38)
第七章 初めての秘密の痛み(3)
晴久の後をついていくと、今度は地下室に入っていった。
「ここは防音室になっている。基本はオーディオルームなんだが、ベッドも置いているしシャワールームもある。あとは、わかるだろう」
そう、だから自宅に呼んだのだ。悲鳴が上がっても何も起こらないように。多香子が女に置き換えたように、晴久も男に置き換えていたということだ。まず、壁に押し付けられ、キスをしてきた。一度晴久が離れると、多香子からも求めた。そしてお互いに狂ったように貪った。
多香子から覚悟を感じると、帯を緩めて脱がすと合わせから手を差し入れた。今度はきちんと胸に触れた。そして首筋に顔を埋めた。もう片方の手は下の茂みの感じやすいところに当てて、指が差し込まれた。濡れていることを確認したようだった。
「その台に手をつけ。尻を出すんだ」
言われたとおりにすると、着物をまくりあげられた。あらわになった尻を撫でられると、声が我慢できなくなっていた。
「せっかく着物姿にしたんだ、楽しまないとな」
多香子はもう喘ぐしかなくて、声が漏れていた。晴久は手を止めて、時計を見ていた。
「多香子、シャワーを浴びてきなさい」
シャワーを浴びてベッドに戻ると、様々な道具が広げられていた。そして壁にはぶら下げられるための金具もあった。入れ替わりになって、晴久を待つと、浴衣を簡単に来て出てきた。
「多香子にはこれを着てもらう。この朱鷺色の振り袖とインスタントの帯だ」
振り袖を羽織らせて、引きずる丈のまま帯を締めた。胸の上下に赤い縄を当てて縛り、膨らみを強調させると、後ろ手に縛っていた。猿轡のかわりに手ぬぐいを口に当てて外れないようにした。そして髪飾りを外すとベッドの上に座らせ、足首のあたりも縛ると、正座をするように言った。言われる通り座ると、まるで時代劇のヒロインのような気分になった。そう、雪の上で折檻される姫だ。そんな話があったと思いだした頃、割り竹のしなる音と衝撃がやってきた。
「声を上げたお仕置きだ。逃げるな。手元が狂うと余計に痛い思いをするぞ」
また、痛みが襲ってくると、耐えきれず前に倒れた。ウッという声と涙がこぼれた。そこにはクッションが置かれて、身体と涙を受け止めていた。次からは尻と腰を狙って打ち据えられた。痛みとともになにか身体に電気も走ったようだった。何回か尻を打った後、晴久は多香子の顔を持ち上げて見つめていた。涙がこぼれたまま笑おうとして、頬が固まってうまくいかなかった。
「君はなんで、笑えるんだ。この前もそうだ」
そう言い捨てるとまた割り竹を持って、打ち据え始めた。時々背骨のところを強く押し当てられると、身体が弓なりに反応した。痛みに混じり悦楽も加わっていた。すると、乳房にも刺激を与えられた。声が漏れていた。どう聞いても喘ぎ声だった。
「君は本当に感じやすい、いい体をしている。こうして打ち据えられても、君の身体には官能が残るようだ」
また尻を狙い打ち据えられると、体の中が熱くなり、足の間から何かがこぼれていた。腰を割り竹で撫でられると、身体が刺激を求めてはねていた。痛みと身体の疼きでどうにかなりそうだった。流石に多香子が肩で息をするようになるとそこでやめた。
そして、ドアを開け、誰かを引き入れた後、多香子の足の紐を解いた。
「多香子、君は先月僕と別れた後、男と会って寝たんじゃないか。どんな顔をして抱かれたのか見せてほしいんだ。本人とはいかないから、別の男だが、連れてきた。楽しんでくれていい。もちろん信頼できるから安心してくれ」
あまりの言葉にびっくりして晴久を見つめた。ありえないどころか、何処からそんな許されないことをしようと思いつくのか。しかも簡単には動けない格好をしているし、声を上げても無駄だ。眼の前の男の欲望ために受け入れろと、試されていると思い至った。しばられ、凌辱されて喜びの声を上げるステージの女。まさかそのようにされるとは。好奇心の行き先がここだったのか。
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