夕闇迫る公園で 7年越しの命をかけて 硬い殻を脱ぎ捨てようと 穴から這い出て 木の幹を登る 宵の明星に導かれ 同じ日 同じ時刻に 同じように穴から這い出る たくさんの命たち 赤い星がひときわ輝く頃 彼らは自らの背中を割る 新芽のようにやわらかな 薄いみどり色の羽根をふるわせて じっとしている 湿った風が羽根を撫でる ゆっくりと 本当の姿に目覚めていく 最後の星が朝にかき消される前に 彼らは飛び立つ 鳴いて 鳴いて 二度はない炎節 相手に
あらい息 だるさ 熱 日の光はいらない 薄暗い 静かな部屋で横たわる 日常の役割を 誰か別の人に託す 「ありがとう」「ごめんね」 「よろしくおねがいします」 幾度となく くりかえし 耐える ひたすらに横になる 託された人が疲弊する前に 日常へ戻らなくては 焦り 苦しすぎて眠れない 目を閉じて考える 心がどうあがいても 世界に何も働きかけられない この身体のためだけの時間が なぜ必要だったのか ないがしろに していたのだろうか 見て
お酒のCM 艶っぽい 大人の女性 満開の夜桜 5年ほどで 違う女性に入れ替わる それは記号 命をつなぐ営みに誘う 生命の煌き 人生の上澄み 時が来れば 黒髪に白を見つける もう煌かない生命 ただ燃え続け 見届ける つないだ命の行方を 浪漫を抱いて
幼稚園バスに乗り込む4歳の娘に、この子の世話を頼まれた。 お熱があるそうで、JRAのノベルティの袋で冷やされていた。 競馬好きの祖父にもらった、大切なきんちゃく袋。 記事を書いてると、娘がやってきて、かわいそうな子の写真撮らないでと。 4歳の子供に宿るまっとうな倫理観に、性善説を信じたくなる。
額に汗して 子供と遊ぶおかあさん 日本の地方都市の公園で 3歳の男の子の両腕を持って 観覧車のように 円を描いて ぐるぐるまわすのは韓国籍のおかあさん おかあさんのまわりに 子供たちが集まってくる そんなふうに 遊んでくれるおかあさんが珍しいから そんな子たちを順番に ぐるぐるまわしてあげるおかあさん 腕を脱臼しないだろうかと はらはら見守る日本のお母さんたち 6歳の子もまわしてあげる おかあさんの汗はきらきらしてきれい
心がイカリを手放して 流れ出す六月 春の初めの新しい風 春の終わりの緑の行進 怒涛の春よ、さようなら 今日 立ち止まり 雨を聴く六月 ふと絶望に気づいても 死ぬことも 殺すことも しないでほしい いま いまをやりすごせば また少し息ができるから
折り紙の裏に書かれていた、つっこみどころがありすぎて、悶絶した一枚。
↑を読んでメロディが浮かびましたか?スピッツの隠れ名曲、ミカンズのテーマより、でした。 私もスピッツは好きですが、「ファン」を名乗るには熱量が足りない気がするので、特に歌詞の世界観が好きとだけ言っておきます。 出産前は、夢見る文系女子でしたが、出産後は夢見てる暇がない隠れ文系おばちゃんになりました。 これから、詩や生活のつぶやき、子供の面白さなどを書いていきたいと思います。お気に召した方がいたら、そっと読んでみてくださいね。