3Dプリンター銃の「ニセモノ」のパーツを流通させることで本物を作れなくするHarmless Guns 【PR研究所074】
概要
3Dプリンターは、今まで出来なかったことを可能にする最新のテクノロジーです。そんな3Dプリンターですが、設計図をダウンロードすることで銃を複製してしまう例が後をたたなかったそうです。
ダウンロードするだけなので記録も残りづらく、犯罪の可能性を大きくはらんでいました。そこで、3Dプリンター会社DAGOMAは「ニセモノ」のパーツを流通させることで、本物を作ろうとする人の妨害をしたのでした。
課題・背景
①3Dプリンターで複製した銃が問題になっている。ダウンロードするだけなので記録が残らず、簡単にだれでも作れてしまう。
②3Dプリンターは可能性に満ちた存在なのに、自社含めた3Dプリンター業界のリスクを取り除きたい。
ターゲット
3Dプリンターで銃を作ろうとした人・作ろうと思ったことがある人
3Dプリンター業界関係者
銃や犯罪を危険視する人々
目的
①3Dプリンターで複製した銃の問題を解決するため。
②自社のプロダクトである3Dプリンターによって生み出される社会問題を、自分たちの手で解決していくため。
(動画よりスクショ)
施策
「ニセモノ」のパーツを流通させることで、本物を作ろうとする人の妨害をするようにしました。ネットにアップされている設計図をいじり、サイズを合わなくしたり構造を変化させたりしました。
「ニセモノ」はSNSにも投下され、8ヶ月で13,000のファイルがダウンロードされました。これによりダウンロードしても組み立てられないHarmless Guns(=無害な銃)の設計図でいっぱいになりました。
また、ominimosouqによるとDAGOMAは3Dプリントのフリーソフトウェアまで開発し、そのプログラムを利用する人は、銃がプリントできないようなプログラムになっているそうです。
結果
8ヶ月で13,000のファイルがダウンロードされ、本物の銃を作ろうとしている人への妨害となった。
PRの事例として注目すべき点
それは、自社の生み出すリスクをクリエティブな方法で解決する「危機管理クリエイティブ」的な手法であることです。
3Dプリンターの引き起こす自社のリスクは、自社のリスク対応によってしっかりと回収していくだけでなく、その回収の仕方にクリエイティブな手法を用いています。ピンチをチャンスに変えていますね。
また危機管理の広報には、いくつかの段階が存在します。その中でも今回はニセモノのパーツ流通によって「リスクに対応する」ことと、プログラムの構成で「未然に防ぐ」ことができています。