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台湾の水質汚染を訴える、下水で作ったアイスキャンディー「100%汚水製氷所」【PR研究所083】

概要

 2017年、台湾では急激な人口増加や工業化によって水質汚染が進んでいました。汚染の進んでいるところでは、水を煮沸しても有害物質が取り除き切れないほどの状態だったそうです。(- IDEAS FOR GOODより)

 そんな中、国立台湾芸術大学の学生は「100%汚水でつくったアイスキャンディー」をつくり可視化することでポップに問題提起しました。

 100箇所から台湾の汚染水を集め、樹脂でそのまま固めました。遠くから見ると綺麗だなと思って近づくと、実はゴミや汚染物で驚きます。

(今回はTwitterで流れてきてすごいなと思ったアイデアを中心に取り上げました。PRの解剖よりアイデアの解剖に近いかも。)

課題・背景

台湾の水質汚染が進んでいる。2017年時点での大きな改善が見られないため、水質汚染に対する意識が足りていないことが推察される。

ターゲット

台湾市民

目的

水質汚染の問題を自分ごと化できるように、ポップな手法で環境問題を取り上げる。

施策

 「100%汚水でつくったアイスキャンディー」をつくりました。100箇所から台湾の汚染水を集め、樹脂でそのまま固めました。遠くから見ると綺麗だなと思って近づくと、実はゴミや汚染物です。

 プロジェクトを通して、水質汚染への問題意識を持ってもらえるようにします。 

インサイト

包装紙に包まれたアイスキャンディーと思っていたら汚染水。自分の飲み水や口にする水にも汚染水が入るようなことがあってはいやだなあ、、と連想する。

結果

プロジェクトの目指すゴールが、「認知を広げる」なのか「実際の汚染の減少」なのか調べてもわかりませんでした。「認知を広げる」であれば日本の記事だけでもたくさんのメディアに掲載されていました。

アイデアとして注目すべき点

 アイデアとして注目すべき点は主に2つあります。
 1つ目は、アイスとしての作り込みに拘っている点です。包装紙から「100%汚水でつくったアイスキャンディー」を取り出すところ。パッケージのデザイン。アイスらしさのようなものを細かいところまで作り込むことで、「汚水」とのギャップがより際立ちます。

 2つ目は、自分が口にするというイメージを連想しやすい「アイス」を採用している点です。汚染水の問題提起をするにあたって、「汚染水」×「〇〇」はおそらく何パターンも思い浮かぶと思います。しかしその中で「アイス」という掛け算を選んだのはとても秀逸です。なぜなら、自分が口にするというイメージが湧きやすいからです。これにより自分ごと化しやすく、実際の意識改革にもクリティカルに効いてきます。


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