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『成瀬は天下を取りにいく』…なんだこの楽しさは!!
なにこれ、めっちゃ楽しい。
最近の小説、特に青春小説は子どもが不幸になりがちで「不幸にならないと感動はないのか…」と暗澹とした気持ちを抱いていたところでした。
この本はそんな暗澹とした気持ちをどーんと吹っ飛ばしてくれるような小説です。
中高生時代。活動範囲は狭いけれど、大人が思っている以上に彼らの心の中の世界は大きく、そして彼女、彼らの前に広がる世界は無限です。
成瀬たちが生きる世界では、西武大津店の閉店が最重要ニュースで日常の全てだとしても、私たちが見ているものとその意味は全然違います。この本はそんなささいで、かつ愛おしい「青春時代」を余すところなく書いてくれた作品でした。
無双と思われた成瀬が、最後その青春の終わりを感じる瞬間(友だちとの別れを意識した瞬間)がこれまたいい。不幸がなくても泣けるよこれ。
郷愁を感じるところもあれど、たいがいの人の通ってきた青春をひっくり返すようなエネルギーに満ちた快作でした。
大々的に褒められすぎて敬遠している人もいるかもしれないけど(私も若干そうでした)これは絶対オススメしたい1冊です。