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日常と背中合わせにある悪を感じた『悪逆』

最近まで黒川さんの本を読んできていないので、疫病神シリーズなどの人気シリーズは未読のままです。前回読んだのが『連鎖』、このときに関西弁の刑事コンビの空気感がいいなーと印象に残っていたので新作『悪逆』にチャレンジしてみました。

前回の刑事たちと登場人物を替える必要があったのかしら。決して腐すわけではなく、しょうもない日常のあれこれを言いあい、とはいえ、必要以上に自分をすり減らすわけでもない刑事の姿は、前回の好印象そのままでした。
いや、とにかく捜査の合間合間に食べるものが何かと美味しそうなんですよ。
警察モノというと、ガチガチの組織、パワハラセクハラあたりまえ、凶悪犯罪が起こったら家にも帰らずに自分の自由を削りに削って犯人を挙げる。でもって捜査本部ではちょいちょいケンカが起こる…ってイメージありませんか?そういうイメージもってるの私だけかな。
読んでるこちらも胃が痛くなるような事を何度も経験してきたんですが、黒川さんの本読むと、ああ、鶴橋行って焼肉食べたい。とかって思うんですよ。血まみれの死体描写を読んだ後にもかかわらず、です。
食う寝る、の姿と残酷なシーンの交差は普段自分たちが過ごしている世界の、背中合わせのそこに凶悪な事件があるということなのかとも感じます。

今回は被害者もたいがいな人たちばかりでした。弱者を食い物にしている悪徳な輩に鉄槌を喰らわしていく凶悪殺人者は何者なのか… ディーヴァーの何かの小説の犯人にこういう似たサイコパスがいた気がして、いまだ思い出せずにモヤモヤしているのですが、最後まで読んでも彼の心は結局読めないままにいます。もしかしたら再登場もあるのかしらん。

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