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会話2分間で「え?」的な反応がなかったとしたら…『会話の科学』
初めて会った人と会話して「あー、この人とお話するのは楽しいな、もっと話したい」と思うというのは、もしかしたらものすごーく稀少な体験なのかもしれません。この本を読むと、そんなことを考えるようになります。
なんたって、会話というのは極めて高度な協力行動から成り立ってるものなのですから。
こんな複雑なことを、そしてそれも0コンマ何秒というスピードで処理していかなきゃいけないんだとしたら、そりゃあAIのしゃべり方は不自然だよね。となってしまいますよ。
逆に考えると、AIのしゃべり方が自然になってきたという事は、そのスピードでの膨大な選択を出来るようになってるということなので、ChatGPTとかに驚いている場合じゃないのかもしれない…
そもそも”会話”、表紙に出ている「え?」や「あー」といった言葉は言語学の範疇からは見逃されてきたポイントだそうです。(このあたり、著名な言語学者がどういうスタンスでいるのかをまとめてくれているので、素人にもわかりやすい)
世界中の会話を分析することで、見えてきた事実はものすごーく日常のタメになる話に溢れていました。人間らしさを追求するためには知っておくべきネタ多しです。
会話の応答にかかる時間の研究というのがあるのですが、各種言語平均が0.2秒のところ、日本語は世界最速なんだそうです。日本語って、最後まで聞かないと結論がわからない言語なのになんでなんだ、とか大変不思議です。
で、表紙の「え?」については、会話中の84秒に1回は「え?」などの確認の言葉が挟まれる、という話が出てきます。
2分間で「え?」的な反応がなかったとしたら会話としては破綻していると考えた方が良いのだ、と、勝手に心に刻み込みました。
最初にも書いたけれど、会話は「協力行動」
この季節、対人関係スキルの本が売れるけど、ぜひ注目しておきたい1冊かと思います。