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『誰が千姫を殺したか』こういう本を出し続けるために講談社には儲け続けて欲しい

柳生十兵衛が出てきたり、忍者が活躍したり、史実の裏でめちゃくちゃな事が起こってる小説を読みたくなったら私は荒山徹一択なんですが、そういえば最近あんまり見ないなー…
そうしたところ、その心の隙間を埋めてくれる本が出ました。

『誰が千姫を殺したか』

大阪城落城とともに死んだと思っていた豊臣秀頼が生きていて(いや、生きてたどころか蛇になってるので蛇身探偵)、大阪城の夏の陣の最中に起こった千姫の殺害の真実を知ろうと探偵をはじめるという荒唐無稽な物語。
世のためになるアイデアを具現化する人はほんとに尊敬するんですが、世のためにならないけど、これだけ笑える設定を考えてくれる作家というのもそれに匹敵する存在じゃないかと思います(褒めてます)

いやー、バカバカしかった。
途中から謎解きなんてどうでもよくて、柳生一族だの、霧隠才蔵だの、佐助だの真田十勇士だの、名前を聞くだけでワクワクする登場人物たちが、何の役で出てくるのかが楽しくなっちゃってw

オビに「豊臣秀頼こそが~シャーロック・ホームズだったのである」と書いてありますが、それより小さな字で書いてある
”どうしてこんな作品を書いてしまったのか自分にもわからない。田中啓文”
って一文がサイコーです。

出版の多様性を!とか難しい話をしょっちゅうしてるけど、こういう「自分にもわからない」ような作品の企画書を通した人たちもすごい。そういうものを出版するために講談社にはより一層儲けて欲しいと思ったのでありました。

それはさておき「書き下ろし時代本格ミステリ」はどうなんだろ。どう考えても伝奇ミステリな気がするけど。

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