間違いなく映像化困難『署長シンドローム』
よく「映像化困難!」という本が出てきますが、この本も別の意味で映像化困難だと思います。
なんたって、主人公の女性署長がどんなうるさ型も瞬時に骨抜きにしちゃうような美貌の持ち主、なわけですよ。そしてその美貌と彼女のキャラクターが本編の物語を進めることに大きく関係している、というわけ。
ドラマにしたって、他の美人女優を凌駕するオーラを出さなきゃならないわけで、派手に演出したらコントになっちゃうしなあ…と、いらぬ心配をしてしまいました。あ、もっとも今回、女性登場人物がほぼ署長だけだったので大丈夫なのか。
話題の署長、藍本さんは大森署の署長として赴任したキャリアです。大森署の前任はあの『隠蔽捜査』シリーズの竜崎さん。ですので、脇を固めるのも竜崎署長時代に翻弄されながらも大きく成長した署のメンバー。シリーズファンにとってはめちゃくちゃ嬉しいスピンオフ作品です。
石頭の竜崎署長とバチバチやってたメンツも、藍本署長の前では骨抜きのふにゃふにゃになるので、日本の治安が不安にならんではありません。が、この藍本さんもなかなかの人で、上手いこと自分のキャラを使って厄介ごとを収めていく、、、といった話。『隠蔽捜査』と比べると、かなり大味な小説ではありますが、それでも『審議官』でも顔を出した新署長の日常の姿が垣間見えて面白かったです。
イラストがついちゃったせいか、既存シリーズ読者に刺さりきってない気もしますが、隠蔽捜査ワールドを広げる楽しい1冊なので、難しい事を考えたくないような気楽な読書にオススメ。私は楽しく読みました。
(とはいえ、女性陣には反発する人も多いかもなー)