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ライトミステリの顔をしたメッセージの強いミステリ『なんで死体がスタジオに!?』

本の賞味期限、みたいな観点があるのだけど、この本は今放送中の番組名やら人の名前やらを連呼しているので、時間が経っちゃったらどうなるんだろう…と勝手に心配しちゃいました。
だからこそ、急いで読んだ方が面白い小説だとも言えます。


”すべらない話”を彷彿させるような、生放送特番の「ゴシップ人狼」。出演者は順番に芸能界のゴシップを暴露していくのですが、中に嘘を言っている人狼が紛れ込んでいる、というゲームです。
とにかく複雑な構造で
①生放送で演じられている人狼ゲーム
②現実に起こっている、いた、と思わしき何らかの事件
③番組の裏で静かに進行しているある脅迫とのたたかい
④スタジオにある死体
といった要素がぐるぐると絡み合っています。

軽ミステリなんて標榜されてますし、語り口も軽いけど、結構重め。片手間で読んでるとアタマごちゃごちゃしてきます。これまで類を見ないような劇場型犯罪がどのように決着していくのか、見所ははっきりしているし、ヒントもありそうなんですがまあわからなかった!

軽口に隠されたテーマも結構重いものがありました。文春砲をはじめとして、ゴシップをエンタメとして消費しているような今の世の中に対する課題提起にはガツンとくるところがあります。

ものすごくドジっ子テレビマンが出てきたり(いるのかそんな人)、どこかマンガチックなところと、リアルな話が背中合わせになった1冊。本物のテレビマンたちの感想も聞いてみたいところです。

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