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『任侠シリーズ』は現代の水戸黄門だと思う
『任侠楽団』
村上春樹の新作を一気に読みきったら、さすがに脱力感が大きく数日は活字を見るのも辛い(目が)日がありました。こういう大作の後というのは、読書にもリハビリみたいなものが必要で、そういうときは何も考えず、鉄板で楽しめる本を選ぶ事が多いです。
たまたま手元にあったのがこの『任侠楽団』。今野さんの本といえば、隠蔽捜査シリーズが最愛のシリーズですが、2番目はこの任侠シリーズ。その名の通り、昔気質のヤクザがトラブルを抱える各種の商売を立て直していくという物語。
シリーズ2作目の『任侠学園』は映画にもなりました。
なりました、というか、なったが故に頭の中では阿岐本組長は西田敏行にしか見えないし、代貸は西島秀俊にしか見えない…あの映画、私はすごい好きだったんですけど他のも映像にならないかなーテーマ的にやはり難しいのかしら。
最新の『任侠楽団』は大きなコンサート前にもかかわらず、内輪もめというトラブルを抱えるオーケストラが題材です。いつものように、隣の組のおじきに頼まれちゃった社会貢献好きの組長がトラブルを収めるために奔走する、というお話。
今回は警察との絡みが多かったものの、他の組とのゴタゴタなどが少なかったので、ヤクザ感がほとんどなく好々爺感たっぷりの組長が見られます。一方で、トラブルを解決することで自分たちも成長していく、という組員たちの描写が少なかったというのは個人的には残念な点でした。
とはいえ、やっぱりこういう水戸黄門的な安定感が必要なんです。いっときの時代小説ブームというのがありましたが、シニア世代にはこの本は刺さると思うんですよね。まさに古き良き日本の姿を感じる作品でした。
リハビリも終了したので、次は少し思いヤツに行きます。