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読書日記

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2024年5月の記事一覧

恩田さん、やっぱすごいよ『spring』

恩田さん、やっぱすごいよ『spring』

非凡な才を持った人のことを「天才」と書くのは簡単。でも、作家さんたちは、読者に”どうすごいのか”と”凡人とのちがい”を伝えなきゃならない。そんな風に考えてみると、そこに作家の技みたいなものを感じます。

springの主人公は「よろず・はる」という男の子。成長して男性になっていく、幼少期からの過程が描かれています。まさに「非凡」の世界にいる男の子なのだけれど、世界的なバレリーナの卵たちの中で彼を描

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読みはじめ30ページで涙腺崩壊『死んだ山田と教室』

読みはじめ30ページで涙腺崩壊『死んだ山田と教室』

読み始めて30ページのところですでに泣けました、といったら「なに言っちゃってるんですか」と言われると思います。
なんたって、30ページといったらあらすじに書いてある事しか起こってないんだもの。
「人気者だった山田が死んで、なのに声が教室のスピーカーから聞こえてきた」というそこまでに、山田がどういう人で、ここがそこそこの偏差値の男子校で、色々あるけど概して仲の良いクラスだった二年E組。

でももしか

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タイトルと内容の落差がすごい『炒飯狙撃手』

タイトルと内容の落差がすごい『炒飯狙撃手』

HONZで次々と魅力的なレビューを叩き出す首藤さんは、ノンフィクションだけでなくフィクションについても素晴らしい読み手なわけで。

最近読んだ中ではこれがめちゃくちゃ面白かった、と言われたら読まずにはいられません。とはいえ、タイトルだけ聞いたときには「なんすか、そのドラゴンボールに出てきそうな名前」って言っちゃったけど。

イタリアに潜伏する台湾のスナイパー(工作員)が主人公。なんと表の顔は炒飯店

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