サンタクロースの落とし物 ②
暖炉の火をぼんやり眺めながら
トナカイはふと暖炉の脇に干してある
サンタのブーツや帽子が目に止まりました。
そうだ!!
トナカイは何か閃いた様です。
ふふふふ…
トナカイは楽しそうに笑いながら
サンタの帽子を1つ持って
外に飛び出して行きました。
トナカイはブルーの家の前にいます。
そしてブルーの家の前に
サンタの帽子を一つ置いて
その夜は家に戻りました。
次の日の朝になり、
ブルーが玄関を開けると
少し先に何かが落ちています。
(おや?あれはなんだろう?)と
ブルーは側に歩み寄りました。
そこに落ちていたのは、赤い帽子。
誰かの落とし物かな?
とブルーは帽子を家に持ち帰り
暖炉の前で濡れた帽子を乾かしました。
(落とし物なら、きっと誰かが拾いに来る)
と思い窓から外をずーっと眺めていました。
お日様が西の空に隠れても
誰も取りには来ません。
(落としたの、気づかないのかなぁ?)
(明日は来るかもしれない今夜はもう寝よう。)
そう思ったブルーは
ホットミルクを一杯飲んで
眠りにつきました。
月がお空の真上で輝く頃
トナカイはブルーの家の前に
また何かを置いていきました。
朝になりブルーが窓の外を見ると…
「あれれ?また何か落ちているぞ」
ブルーが拾いにいくと
今度はブーツが片方だけ落ちています。
「ブーツが片方だけ落ちているなんて、
おかしいなぁ…」
そう呟きながらブーツを拾うと
ブーツの上の方に
キラリと光る文字があり
そこにはsantaと刺繍がされています。
「えっ???サンタ???」
「まさかね…」
「いくら忙しいサンタだって
ブーツが脱げたら気付くもの…
きっと誰かのイタズラさ」
そう言いながらブルーは
濡れたブーツを暖炉で乾かし
今日も外を眺めていました。
日が暮れる少し前の事
近くに住むお腹の大きなお母さんと
小さな女の子、バーバラが手を繋いで
ブルーの家の前を歩いて行きます。
ブルーはその姿を
羨ましそうに眺めながら
2人の会話に耳を傾けました。
バーバラは、元気な声でママに言います。
「私、今年はサンタさんにお菓子を
沢山下さいってお願いしたの」
それを聞いたママは
「あらバーバラ、
そんなにお菓子を一杯貰っても
食べきれないんじゃないかしら?
違う物の方が良いんじゃない?」
と、言いました。
するとバーバラはこう言います。
「お菓子を一杯貰ってね…
みんなで食べるの!!
パパやママやお友達にもあげるの!」
「それとね…」
「赤ちゃんが食べられるお菓子も
下さいってお願いしたんだ」
と、ママのお腹を触りながら
嬉しそうに話ていました。
それを見ていたブルーは、
ハートがじんわり暖かくなって
ポツリと呟きます。
「僕にもあんな家族がいたらなぁ…」
って…
やがて外は暗くなってきました。
けれどその日も落とし主は
現れませんでした。
サンタの家では今日も大忙し。
サンタは帽子やブーツが
無くなっている事になんて、
全く気付きません。
トナカイは
「ウフフ」
と笑って今夜も出かけます。
けれど、今夜はちょっと大荷物。
サンタに見つからない様に用心して…
こっそり外に飛び出していきました。
トナカイが、ヨイショヨイショと
運んでいるのは、何かが入った袋と
幾つかの木の板です。
トナカイはブルーの家に向かう途中に
木の板を所々に刺して行き
ブルーの家の前には
何かが入った白い袋を
いつもの様に置いて行きました。
「これできっと大丈夫」
トナカイはそう言って
サンタハウスに戻りました。
太陽が顔を出し、
朝の鳥達のお喋りが聞こえる頃
ブルーは目を覚まし
いつものように外を見ました。
「また何か落ちてる…」
ブルーは落ちているものを
拾いに外に出ると
そこには…
ピンクのリボンの付いた
大きな白い袋が落ちていました。
「何だろう?これ?
何か入ってるぞ…」
ブルーが袋の中を開けてみると…
そこには沢山のお菓子が入っています。
「わお!」
ブルーは驚きました。
「こんなに沢山のお菓子、どうしたんだ?」
とブルーが考えていると
昨日の女の子の話を思い出しました。
「まさかね…」
そう言いながらブルーは袋の中を探ると
一枚のカードが入っていました。
そのカードを見ると
『dear Barbara
愛を込めて
from santa』
と、書いてあるではないですか。
ブルーは
「大変だ!!今までの落とし物は、
本当にサンタクロースの
落とし物だったんだ。」
「これをサンタクロースの所に
届けてあげないと…」
「あの子にプレゼントが届かないぞ!!
あぁ…大変だ!!」
そう思ったブルーは、
今までの拾った落とし物と
そのお菓子の入ったプレゼントを持って
外に飛び出しました。