サンタクロースの落とし物 ①
街はクリスマスツリーが飾られた
12月の寒い日。
イタズラ好きのトナカイが
サンタに言われたお使いを終え
サンタの家に戻る途中のことです。
小さな家の窓から
寂しそうに外を眺めている
小さな熊の男の子を見つけました。
小さな男の子の名前はブルー。
ブルーは毛の色も耳も何故か青く
その事でお友達から揶揄われ
傷付いていました。
そんなブルーを慰めてくれるママとパパは
ブルーがもっと小さい頃に事故に合い
もう居ません。
時々、近くに住むイジワルな叔母さんが
ため息を吐き怖い目でブルーを睨みながら
冷たいパンとミルクを置いていきます。
ブルーは窓から見える道を
ママやパパと手を繋ぎ
楽しそうに家に帰る子供達を
羨ましそうに眺めていました。
トナカイは寂しそうに窓の外を眺める
男の子の事が何故だかとても気になりました。
そこで鼻をチリンと鳴らしました。
トナカイが鼻をチリンと鳴らすと
どんなに遠く離れていても
聞きたい子の声が聞こえるのです。
♪チリン♪
すると、家の中に居る
ブルーの声が聴こえてきます。
ブルーはポツリと呟きました。
「クリスマスなんて嫌いだ」
「パパやママがいない僕は
サンタに手紙も出せない…」
「そんな僕の所にサンタは
どうせ来ないんだから…」と…
その言葉を聞いたトナカイは
胸がキューっと締め付けられ
とっても悲しい気持ちになり
その場を離れました。
トナカイは、どうにかしてあの子に
クリスマスを好きになって貰えないか
考えながらサンタの家に戻ります。
サンタの家ではサンタ達が
あの子にはこのオモチャ…
あそこの家の子はお洋服…
まだあのオモチャが出来ていないぞ!!
急げ急げと大忙し…
トナカイが男の子のことを
サンタに相談する事は
出来そうにありません。
仕方なくトナカイは
暖炉の前に座り
1人で考えていました。