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作ってあげたい彼ごはん

駆け出しのライターとして出会ったメンバーたちが、毎回特定のテーマに沿って好きなように書いていく「日刊かきあつめ」です。

今回のテーマは「#このレシピが好き」です。

「料理がうまいところ」が強いて言えば好きだと言われたことがあった。

ああそうかえ?
なんともぴんとこないねぇ。

じゃあなんと言うのが正解だったのかわかんないけども。

料理がうまい…???

あまり言われたことなかったから意外である。今まで彼に料理を振る舞ってきた人たちがたまたま料理が下手だったことにただ感謝だ。

なんというか
老人ホームの献立みたいだぞ?
(てホンモノ食べたことないけども)

なんというか
やよい軒みたいなごはんだぞ?
(と当時は思ったものだが、実際やよい軒でこないだランチを食べたところ、めちゃくちゃ美味しくて、こんなん作れてねぇわ、ごめんなさい、となった。)

なんというか
現実的な地味ごはんなのだ。

だけどわたしだって、夢いっぱい愛情いっぱいのモテレシピを習得して、大好きな彼に食べてもらいたい。そう思っていた事もどうやらあったようなのだ。

その証拠にわたしの書棚には、かれこれ15年くらい

「作ってあげたい彼ごはん」

という幸せな彼氏持ちな人たち向けのレシピ本がひっそりと息を潜めているからだ。

確か彼のおうちの小さなキッチンで作れる簡単でおしゃれでわかりやすいおいしさのレシピがたくさん載っていた。

何せ昔のこと過ぎて当時の恋愛事情なぞもはや思い出せないのだが、そもそも彼氏なんかいたっけ?
人生の大半いないんだから、いなさそうである。なぜ買った…?

だけど、この著者のshioriさんの、

「好きな人にご飯を作るのはすんげー楽しい。 おいしいねって喜んでもらえたらもっと楽しくなるよ。」

てフレーズはよく覚えてる。 
この人、全然わたしと人生違うんだろうな、と思ったんだ。
それで、若いわたしは自分とだいぶ遠いところにあるそういう幸せな経験したいな、て憧れたんだろうな。

この彼ごはんレシピは、その後彼氏が出来たら、ここぞとばかりに作ってみたりもしたんだけど、いかんせんその出番は少なく、わざわざ開く機会もあまりないままとなってしまった。

月日は流れ、今やわたしも中年なら付き合う彼も中年。おそらく若い二人をターゲットにした彼ごはんレシピはいささか胃に堪えるレシピになりつつある。だけどこのレシピ本、なんとなく捨てられないのはなんでなんだろう。

文:べみん

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