絵だけ投稿しろ、と言われるトラブルの話

もはやTwitter特有の問題ではないだろうか、とさえ思っている。海外ユーザーがどうかは知らない。日本人だけかもしれない。でも、度々こう言うことが火種になって「アカウント消します」と宣言していなくなってしまったり、鍵アカウントになって引きこもってしまったり…と言うことは度々見てきた。

今回は「絵だけ投稿して」と言われてしまう絵描きさんとフォロワーの人間関係のトラブルの話。
私自身の話ではなく、多くTwitterで見てきたお話を、傍観者という立場で原因を考えてみた次第。多分内容的に多くの絵描きさんから「その発想気に入らねぇ」と言われるだろうことは承知済み。嫌いになるのはどうぞご勝手に。
腹も括ったところで、続けましょう。

私自身は、絵は描けるけどさして技術レベルは高くなく、高校時代に専門学科にいました…くらいなもの。過去にはFlashアニメを卒業制作にしたこともあったんですよ。今ではそんな技術を使うこともほぼ無いですが。しかしと言ってはなんだけど、物作りの苦労は勿論知ってるし、ジャンルは違えど、今は『IT』という世界で開発と呼ばれる物作りを専門に仕事してます。どんなものを描くか(要件定義)、下書き(設計書)、ペン入れ・色つけ(開発・テスト)、公開(実装)。やることは似たようなもんでしょ。

さて、ここから話のメイン。
Twitterで日本語タグがリリースされてもう9年ほど経つ。知ってた？来年でもう10年経つんですよ。で、その日本語タグがリリースされて、我々日本語ユーザーはいろんな言葉をハッシュタグにしてきました。「見てくれ」タグだったり、「繋がりたい」タグだったり、作品、ドラマ、映画などの感想用だったり。「どう考えてもお前しか使わんやろ」ってタグもありますな。

その中で、最近ふと目に留まったタグ。「○○したらフォロワーが増える」という類のもの。タグ名列挙するとといろんなのがありすぎるので、一括して「フォローして」タグと呼びます。

私は通常日常系として使っているアカウントのほかに、創作用にもうひとつ持っています。そっち側でよく流れてくるのが「フォローして」タグなんですね。「フォロワーさんがRTしてくれる」とかが一緒になってて、RTで回ってくることが多い。「繋がりたい」タグだったらまだなんか目的はわかるんだけど、「フォローして」タグって何なんだろうなってちょっと思ったり。

突然ですが、これをお読みの絵描きの皆様は、名もなきフォロワーAから「日常の話をしないで。もっと絵を上げて」みたいなことを言われたことはありますか？「フォローして」タグを使ったことがないのに言われたことがある、という方は、そのフォロワーAを殴りにいってやるから教えて？(やめなさい)

前述の通り、「フォローして」タグを使ったことがあってなおかつ「絵だけ上げてろ」的なことを言われたご経験がある方に、少し考えてほしい話です。

例えばの話。貴方は特定の企業の情報を得るために、企業アカウントをフォローしたとする。しかしそのアカウントから発信されるのは、中の人のプライベートな話ばかり。「何見せられてるんだろう…」「そういうのは個人垢でやれや…」って思いません？私もそう思って最近企業アカウントをほぼ全部リムりました。正直、目的に沿わない話とか中の人同士のイチャコラなんて興味ないんですよね。

これと同じことが、「フォローして」タグから貴方をフォローした名もなきフォロワーAの身に起こっている、とお考えになったことは？

もちろん、私を含めみんな個人です。自分のアカウントこそ個人アカウントであることは間違いない。ただ、名もなきフォロワーAは貴方の絵を求めて貴方をフォローしたのに、「何見せられてるんだろう」と思っちゃう様な日常トークばかり。

完全に私個人の感覚なんですけど、「絵」を餌に「フォローして」とねだった割に「絵だけ上げてろ」と言われると「絵描きは絵を描くだけじゃない！普通に人なんです！」とか主張するじゃないですか。フォローした側としては「だったら絵でフォローしろとか言うなや」って話じゃないかなって思うんですよね。絵を目的に貴方をフォローした人に対して、個人を押し付けるのって傲慢なのではないかな…と思います。

個人アカウントなんだから、中に自分と同じ人間がいることくらいわかりきってるんです。絵1枚描くことがどれだけの労力が掛かることか…というのは前述の通り、私にも幾度となく経験のあることですので知ってます。

私が言いたいのは「タグ使って絵を主張してフォロワー集めた癖に、『日常ツイート発信するな』と文句言われたと騒ぐのは、『絵』ではなく『個人』を認められていると勘違いしてるんじゃないのか」と言う事です。自分がどうやって生きているかと同じように、相手もどうやって生きているか、何を見て何を見ないかの選別をしている。見るものを選ぶ、というのは自分も相手も「自身の自由に責任を持って」やっていることだと思うんですね。でも、相手が自由をもとに選んだこと(フォローすれば貴方の絵が見られる、と言うこと)に対して、自分の自由(日常ツイートさせろ)ばかり主張して絵を上げる頻度が低かったとしたら、結果としてこれは相手の自由を奪ったことになるのではないかと思うんですね。その上で文句言われたりリムられたりしてギャァギャァ言うって、個人的にはとても我儘な発想だなぁと思います。

「絵だけ投稿するbotになれ」と言わないです。個人アカウントをどう使うのかは個人の勝手。ただ「そのタグ経由でフォローされた=絵が見たい人が集まってる」ってことは、誰よりもそれを使ってフォロワーを集めた本人が理解しないといけないことじゃないかな、と思います。そうじゃなければ、そんなもの使うべきじゃない。トラブルの火種を作ってるのは他ならぬ自分だってことです。

ここまで話して、「フォローして」タグを使わずに広まってしまった人の話はほぼ触れてきませんでした。何故ならば、彼らは「フォローして」と言ってないのに「絵」を目的にフォローされたとして、名もなきフォロワーAに「日常ツイートするな！絵だけ上げろ！」と言われたら「うるせぇお前の為に描いてんじゃねぇよ消えろグズ」くらい言っていい権利があるのです。この場合、相手の自由を制限したのはフォロワーAであって、広まってしまった彼らではないからです。

相手の自由を否定する者は、自らも自由になる資格はない。これはリンカーンさんの言葉です。アメリカの元大統領ですね。皆が皆、「ここは自分のTLだ！」って言うけど、時にそれは相手が選んだ「自由」を否定することにもなります。その時、彼らが貴方に苦言を呈するのも自由の１つであり、貴方から離れるのも自由なのです。匿名ツール等を使って「文句言われた！堂々と言わないのセコい！」なんて言ってくる前に、自分の言動が筋を通しているか、今一度考えてみて欲しいな、と私は思います。

少なくとも、火の無い所に煙は立たぬのです。火種を持ち込んだのが、誰なのか。それを思い出してください。

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時に…「絵だけあげてろ！」という人たちはそもそも「絵を描く」ということがどれほど労力の掛かる事なのか、というのを多分ご存知ない。めちゃめちゃ描き込まれていた絵だとしても「1時間もあれば出来ちゃうんでしょ？」と思ってる人はいまだにたくさんいますね。そういう「無知」がトラブルのきっかけになることもまた１つの事実。

「僕だと1時間掛かっちゃうけど、デザイナーだから、このくらい10分もあればできちゃうんでしょ？」
「いいえ、デザイナーなので1週間掛けますよ！」
…というのは最近見た話ですが真理ですよね。ちゃんと描ける人ほど時間を掛ける。プロの仕事を侮ってはならない。

毎回毎回すごい絵だけをポーンとあげられると、「この人はこんなすごい絵を簡単に描いちゃうんだ」という認知の歪みみたいなものが発生します。今はあるかわからないですが、昔はたまに見かけた「あの人はこんなハイクオリティな絵をこんな短い時間で仕上げたのに、貴方はこんな簡単な絵に何日もかかるんですか？」って言うやつ。人の作業速度も生活環境もそれぞれなのに、それを理解しないのは基準がズレてるからなんですよね。それも「無知」。

ここからは勝手に言ってるだけなんで、スルーしてもらっていい話なんですけどね。「無知」対策、と言ってはなんですが、作業工程(タイムラプス的な)のを撮影して、「ここまで描き上がるのに1日辺り◯時間作業、合計◯日で完成」ってメモみたいにくっつけたらいいんじゃないかと思うんですよね。メモだけでも良いと思います。作業工程と作業時間が分からないから、わからない人達は「簡単に描けちゃう」と思い込むんじゃないかな。

「作業時間描くなんてドヤってる様に見える〜」と思うかもしれませんが、そんなん「メモ書きです」とか一言添えればいいだけじゃ無いですかね。案外気にして無いと思います。私個人としては、むしろ作業時間が短かったら「待って、時間計算間違ってない…？」って不安になるし、長ければ長いほど「お疲れ様でぇぇっす！！！」って気持ちになります。それで「なんだこいつドヤってんな」って思う人は多分貴方のこと嫌いな人だと思うから気にしなくて良いんじゃないかな。

て言うか個人的に人の作業工程は見ててテンション上がるんで、「これをこうしてこう！」みたいなのでも良いかなと思うんですよね…。ただ時々あまりにもぶっ飛んでるだろ!?って言いたくなるレベルの作業工程あるので、Twitterの4枚枠で収まらない人は「こうして」をあと3回くらい挟んでください。お願いします。大丈夫、需要ある。見たい。

無知に「勉強してこい」っつったってそもそも勉強方法知らないんだから、それなら見せつけてやれよお前の実力を…ってことです。見せつけてくれ〜!!無知ではないんだけど見たい!!!(最後、見たいしか言ってないな私…)

私のことは嫌いになってくれたって構いやしないけど、「なんで文句言われてしまうのか」ってことについて、一個人の見解として考察した結果がここにある、と言うことはうすらぼんやり覚えといてもらえたら、書いた甲斐があったと言うものです。おわり。