徳田秋声「青白い月」感想、最後に焼きついていた風景
読み終わった最初の感想は、「なんだったんだ?」
なんの説明もなく物語は始まり、特に山場もなく、淡々と、幸せだけれどもどこか悲しい家族の話が、古風な語り口で綴られてぽんと終わった。
だけれど面白くなかったかと言えば全然そんなことはなく、続きが気になるような、ドキドキさせるような内容ではないと思うのにページをめくらずにはいられない魔力がある。なんだこれは。なんだこれ?初めて読んだよこんなの。
主人公は血の繋がらない甥(作中では姪と表記されており私の混乱を誘った)と風光明媚な観