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4月を迎えるにあたって(令和3年度 介護報酬改定への適応)※4/26Q&A第8弾更新

例年の如く、福祉サービス第三者評価の繁忙期のため、noteの更新が約3ヶ月も滞ってしまいました(Twitterは相変わらず更新しておりますので、よかったらそちらもご覧ください)。

介護報酬改定目前のタイミング

2021年1月18日に介護給付費分科会で基本報酬や加算要件などが公表されました。各福祉関係団体で介護報酬改定の研修をさせていただきましたが、心から喜べない悩ましい改定になっているのは、すでにご承知の通りです。

ギリギリのタイミングでQ&Aも公表されていますので、まだの方はチェックしてみてください。

特に今回の改定のポイントは、LIFEへの情報提供とその活用による上位加算が算定できるという点でしょう。
国としても、「科学的根拠に基づく介護サービスの確立」を目指しています。
しかし、Aさんが下肢筋力維持のため個別機能訓練で10m歩くことが良いのか、辛そうにしているので5mから初めて徐々に伸ばしていく方が良いのかなどなど、画一的な介助や支援だけで達成できるかどうかは、以前の検討会の中でも指摘されていることは皆さんもご存知だと思います。
このLIFEへの情報提供を重ね、3年間後の診療報酬とのダブル改定のタイミングでどのように活用されるかに注目する必要がありそうです。

まず、使用するには登録が必要であり、時間がかかりますので、まだ登録していない施設・事業所は確認してください。

4月以降の3年間の経過措置期間の生かし方

各福祉関係団体で介護報酬改定の研修を行う際、事業継続計画や感染症対策、虐待防止対策など、3年間の経過措置期間をどう捉えるかを問題提起しています。

研修では、童話「うさぎとかめ」をモチーフに、3年目に作るだけ作っておしまいの「うさぎタイプ」でいくか、3年間をじっくり活用しPDCAに沿って実戦レベルの状態まで作り上げる「かめタイプ」のどちらでいくかと問いかけました。
「うさぎタイプ」で様子をみて、3年目で追い上げると考えられる方もいらっしゃると思いますが、他施設・事業所の資料を参考にするのは良いですが、それを自施設・事業所に当てはめるのに1年で可能でしょうか?
それなら、がっつり時間と労力を投資しなくても、中核業務の洗い出しや通所系は家族・関係機関との被災時対応の意向確認など、今のうちにできることをコツコツ積み上げていってはどうでしょうか(計画的に進めるとなると、やっぱり「かめタイプ」になるのです)
皆さんの施設・事業所はどちらで進める予定でしょうか?

今回の改定では運営基準に関わる見直しが多く含まれ、介護保険に関わる施設・事業所の運営そのものの強化を図ることを国が示したと解釈できます。
大袈裟かもしれませんが、利用者、職員、地域を守れない施設・事業所には今後、介護保険サービスを提供してもらわなくても良いというメッセージであり、そういう法人は連携推進法人(公的なM&A)に移行してもらっても構わないという流れを強め、介護保険に関わる法人の淘汰を進めていくのではないかと考えています(要するに、税金を効率的に効果的に活用してもらえる施設・事業所に任せたいということです)。

「福祉の心」だけでは社会の困っている人たちを助けられない時代に突入した以上、経営改善や組織づくりは福祉施設・事業所でも重要な要素となります。

新設された加算をどのように算定していくか、現場の業務プロセスをどう見直していくか、自施設・事業所を取り巻く災害リスクは何か、事業継続計画(BCP)をどのように作成していくか、感染症対策強化に向けた訓練(シミュレーション)を計画立ててどのように実行していくか、虐待防止対策強化に向けて…云々、と進めていくためには、経営層の意思決定により組織の職層ごとの役割に応じた立ち居振る舞いや発言を行い、組織に浸透させ、実践させていくことが必要です。

福祉サービス第三者評価の項目においても、ほとんどの施設・事業所が明確に仕組みとして確立できておらず、改善点として指摘せざるを得ない要素となっています。
ある意味、3年間の"執行猶予"がつけられたと考えたならば、3年間で前述への対応を組織的に出来る状態を作り上げないと、3年後、「〜未実施減算」による経営悪化、利用者、職員、地域の信頼や信用にも応えられなくなってしまうことを想定しておくことが必要です。
経営層だけではなく、中堅層、一般層も巻き込みながら、計画的に進めていきましょう。

現場におけるデジタル化と情報の活用(アウトカムへの対応)

LIFEへの情報提供や「科学的根拠のある介護」を確立していくためには、現場のデジタル化とさまざまな情報を活用したケアの提供が必要になります。
夜勤職員配置加算の加配人員の緩和や従来型の夜勤職員の緩和などについては、見守り機器の100%導入やインカムの使用など、現場のICT化が要件に位置付けられています。

主たる担当は事務長や介護課長といった経営層が対応せざるを得ないと思いますが、何より現場におけるデジタル化や情報を活用できる意識変革にも取り組む必要があります。

「パソコンが苦手です」では、介護職になれない時代になります。
といっても、そのような人材も現場で活躍できるよう移行(訓練)期間や情報集約の仕方などを現場で検討する必要があります(直感的に入力できるタブレットの導入や非正規職員はノート、正規職員がパソコンに入力するなど)。
コロナ対策の補助金により、現場のICT化も進んだのではないでしょうか。

また新設された加算にはプロセス評価(下位)とアウトカム評価(上位)で単位数が異なっています。
例えば、特養における褥瘡マネジメント加算Ⅰはプロセス評価、Ⅱはアウトカム評価(褥瘡の発生がないこと)です。排せつ支援加算のⅠはプロセス評価、Ⅱ(排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともに悪化がなく、またはおむつ使用ありから使用なしに改善していること)・Ⅲ(排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともに悪化がなく、かつおむつ使用ありから使用なしに改善していること)はアウトカム評価です。

このアウトカム評価の根拠となる計画書や記録はデジタル化した中で集約していくことになります。
「パソコンが苦手です」では、このような「科学的根拠に基づく介護」の流れから出遅れてしまいます。
繰り返し申しますが、この3年間の猶予期間での対応を進めていきましょう。

管理人

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