
ため息俳句番外 白鳥を見にゆく
昨日、蝋梅を見た深谷市の鹿島古墳群周辺からさらに荒川を遡ってしばらく行くと、川本地区の白鳥の飛来地がある。
蝋梅を見たついでに、行ってみた。
深谷市によると、こういうことだ。
川本地区の荒川河川敷では平成3年から白鳥への餌付けが行われ、白鳥飛来地として多くの人々が訪れてきました。しかし、鳥インフルエンザの問題や生態系への影響などを考え、平成20年度から餌付けを廃止しました。その後、白鳥飛来数は減少し、お越しいただく方々も同様に減少しております。
この現状を受け、深谷市及び深谷市観光協会では平成24年3月31日をもって、白鳥飛来地の管理を終了することとしました。ご理解いただきますようお願い申し上げます。
なお、今後も荒川に白鳥は飛来してきますので、ご覧になる場合には以下のことをお守りください。
・静かに観察してください。
・白鳥に餌を与えないでください。
・火災予防のため、禁煙にご協力ください。
・ごみはお持ち帰りください。
人間の都合をよそに、白鳥は毎年飛来してきて、以前よりは大分減ったといっても、白鳥を見にゆく人相変わらずいるのだ。自分のその一人ある。

深谷市に渡ってくる白鳥はコハクチョウとオオハクチョウの二種類。オオハクチョウは、東北地方や北陸地方に主に渡り、関東地方に現われるのはまれだという。

コハクチョウとオオハクチョウの見分けは、嘴の黄色い部分が半分以下がコハクチョウ、半分以上がオオハクチョウというのが、目印になるという。
というと、上の画像は、多分コハクチョウであろう。
いずれにしろ、圧倒的に美しいのである、白鳥は。見た目ではあるが。







その美しさ故にのことであるが、性愛の象徴にも。
ギリシア神話の「白鳥とレダ」の物語は、多くの画家達の作品で主題となった。
レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた『レダと白鳥』もその例であるが、今は失われてしまって見ることが出来ない。ただ、模写はいくつか残っているそうだ。
次の作品も『レダと白鳥』をラファエロ・サンティが模写したドローイングである。

レダはスペイン王の后であったが、その美しさからゼウスが懸想した。ゼウスは白鳥に変身し、鷹に追われている振りをして、浴場にいたレダに近づき、誘惑した、というのが自分の知っていることだ。大体、ギリシア神話というには、不案内であるから、これ以上は言えないので、すみません。
さて、イエイツにこんな作品があったので、ご参考に。
レダと白鳥
急に一撃が来て、倒れ掛けた女の上に
大きな羽がまた空を打ち、女の腿は
黒い蹼にいぢられ、襟首は嘴に挟まれて、
鳥は力を失つた女の胸にその胸を当てる。
不確かに震へる女の手で、どうしてこの
羽に包まれた栄光をその弛む腿から押しのけることが出来るだらうか。
その白い嵐に横にされて、知らない相手の
心臓が鼓動するのを感じないでゐられるだらうか。
腰に傳はつたものがあつて、そこに
壊れた城壁や、焼ける屋根や塔や。
アガメムノンの死を用意する。
空から来た黒い血に
こうして掴み上げられ、征服されて、
女は倦きた鳥の嘴が女を離す前に。
その力の他に知識も身につけただらうか。
「葡萄酒の色」吉田健一訳詩集 1964年
とりとめがなくなったので、止めよう。