ため息俳句18 寒苺
苺は、分類上は野菜で、果物ではないのだそうだ。自分の小さな菜園でも栽培している。
初めはとちおとめの苗を植えた、たいした量ではないが収穫できた。そして、そのまま放置、かってにランナーとよばれる蔓を延ばして、その先に根が生えてきて新しい株が芽生える、それを毎年繰り返して、消えてしまうこがない、まるで雑草並みの生命力だった。
しかし、年々実は小さく、酸味だけになってくるので、別の品種の苗を付け加えるように植え付けた。ために現在は交雑して、なんだかわからないハイブリッド苺になった。
そんな畑の苺の収穫は、5.6月の頃、ゆえに「苺」の季題は夏である。しかし、さほど苺好きとは言えない自分ですら、一年でもっとも口にする機会が多いのは、12月から1月、贈答にもよく使われる。この時期のものは、全部温室育ちである。近隣にも苺農家がそこかしこにあり、大抵はいちご狩りも行っていて、冬の間中繁盛している。これらは、水耕栽培によるもので、地面上で栽培もされない。温室内ではミツバチも飼育されていて、ほっほーんと感心するばかりだ。
そこで、生産されるものは、先ずたいそう甘い、粒ぞろいで大きい、色つやがきれい、つまり、まったくの美人さん、まるで人工宝石のごとき食べものである。自分の畑の苺とは、大違いであるのだ。そこで、「寒苺」という季題がある。ついこの間、一粒全体が真っ白な苺も食べた。いろいろあるもんだと思うのだが、・・・・・。