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ため息俳句 暮坂峠

9日から開催されている中之条ビエンナーレ2023を目当てにドライブに出た。
隔年開催であるが、この何年かは連続して観ている。
今回は中之条市街から六合くにへ抜けて長野原へ下る横断コースを通った。
印象では、前回より会場ごとの展示がすっきりとして、気持ちよくなった。
素人目ではあるが、作品の質もレベルアップしたように見えた。
各会場の地元のボランティアの方々も親切に声をかけてくれて、心を和ませて頂いた。

中之条市街から六合へ行くには暮坂峠を越えて行くことになる。
あの牧水が越えた峠である。

枯野の旅  若山牧水

乾きたる
落葉のなかに栗の實を
濕りたる
朽葉(くちば)がしたに橡(とち)の實を
とりどりに
拾ふともなく拾ひもちて
今日の山路を越えて來ぬ

長かりしけふの山路
樂しかりしけふの山路
殘りたる紅葉は照りて
餌に餓うる鷹もぞ啼きし

上野(かみつけ)の草津の湯より
澤渡(さわたり)の湯に越ゆる路
名も寂し暮坂峠

そうして、峠にはこの詩碑と供に、旅装の牧水像が。

このごろ牧水の歌を目にすると、大抵はいい気なもんだよ・・的な感想しか浮かんでこないので、何とも言いがたいが、今日暮坂峠の茶屋でコーヒーを飲みながらこの像を眺めていたら、やはり牧水的な人間には到底なることが出来ない自分に嫉妬のようなわだかまりがあるのではないかと、胸のあたりが年甲斐もなくもやもやした。古女房は、このところ喫茶店では、クリームソーダーばかり飲んでいるし・・・・。

暮坂峠の辺りは、もう芒の穂が美しかった。

それと、松虫草。



暮坂を越ゆればやさし松虫草