ため息俳句 たくわん
この愚録からひと月余り、どうやら沢庵漬けも、頃合いかと重しを上げてみた。
大寒を前にたくわん味見せむ
なかなか良いでは無いか。
塩分を控えめにして、ザラメもちょっぴり多めにした。
昨年のような塩っぱさが気にならない。
少し甘みも感じられる、これなら若い衆もたべてくれるだろう。
うるさい妻にも好評である。
でも、あの日、大根を漬けた日だが、確か夫婦げんかの後で、互いに口も聞かず、嫌な空気であった、そのことを思い出した。
更に、二きれ三きれ食べてみたが、そういう感じもしない。
長年喧嘩を繰りかえしていると、確かに古漬けのような匂いもなきにしも非ずだが、大体は落としどころというのがあって、そこを過ぎれば何事もなかったような気分になる。
今年のたくわんも、さっぱりした味わいだ、沢庵臭さが抑えられている。悪くない。あくまで漬け物は食卓では脇役だ、悪目立ちはいけない。
さて、ジジババともに、喧嘩は退屈に倦んだ日常にたつ波風、ちょっとしたアクセント、軽い刺激、そんなものだ、後を引くのは愚の骨頂である。
たくわんに夫婦喧嘩の味かよう
長年連れ添ったジジババの諍いは、たいていは翌朝には忘れている。
たくわんの食べ方としては、鰹節と七味をかけて食べるのが好きだ。