ため息俳句 当尾から初瀬へ
二泊三日の小さな旅であったが、昨晩遅く家に着いた。
今度は、奈良に滞在二泊、帰りがけに京都で一日過ごすという何ともこの時期にならでのありきたりな日程で、言わずもがなの紅葉見物である。
二泊三日の旅であれば、二日目が心おきなく楽しめるわけで、午前中はバスで当尾へ、岩船寺から点々とある石仏を尋ねながら浄瑠璃寺へ向かうコース、午後は奈良にもどって、長谷寺参拝。自分一人ではすでに春秋それぞれに行ったことがあったのだが、当尾については一度カミさんにも見せてやりたいと思っていた。
門前で草餅を買う。
南無阿弥陀仏衆生を照らす紅葉かな
草餅を食べ忘れけりがんせん寺
近道せば険し崖あり石仏
草餅を供えんとして止めにけり
常日頃神も仏も十円と
信仰は、お金ではありませんからね。
尾根伝いに下ると、浄瑠璃寺に至る。
ここには九体の仏さんがおいでだ。はじめてこの仏様の群れを見たときの感動を言い表すことは難しい。
拝がむをおろそかにする紅葉かな
近鉄奈良駅まで戻って、小西通りのシャトードール で、昼飯を食べて、午後の見物先は長谷寺である、約一時間電車を乗り継いで行く。
長谷寺駅から一汗かく距離にお寺はある。
おびただしい人出であった。
ここは我が家の墓、つまり菩提寺の総本山である。そこで檀家向けに毎年参拝団を募集しているが、参加しようという気になれない。であるのに、個人的にはここも何度か来ている、桜の時期、牡丹の時期。ここの観音様も巨体でいらっしゃるので、好きなのだ。
帰り道、参道脇の店で瓜の奈良漬けを買う。
普段、あまり歩くことをしないカミさんは相当にくたびれたようであった。