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ため息俳句 湿度

秩父皆野の美の山は、紫陽花の名所でもある。
関東の吉野と云われたりするので、桜のほうがよく知られているのかもしれない。「美の山」ならビノヤマであるはずだが、ミノヤマと読む。それはもともと、この山は「蓑山」であったからだ。実は、ここは正しくは美の山国民休養地という山頂の公園である。
今日は、起きると梅雨の切れ間の快晴であった、午後から天気が崩れるとの予報もあったが、ひとっぱしり足を延ばして、紫陽花を見に行こうということになった。
10時過ぎに出発して、途中でおにぎりを買い込んで、紫陽花を眺めながら腹を満たすという算段である。我ら夫婦は、桜であろうが、紫陽花であろうが、花より団子という原則は崩さない。
秩父方面はなんやかやと出かけてゆくので、美の山公園は、おなじみの場所の一つである。
登山道に入ると、雨になった。一気に降りだして、薄暗い山道を濡らし始めた。いつも利用する第二駐車場についても降りやまないが、秩父盆地方向は晴れていて、武甲山もよく見えた。ただ、駐車場一面から白く水蒸気が立ち上って、車の窓を開けると、むっとした生暖かい空気が押し寄せてきた。

谷は雨鱗に紛ふあじさいの



雨はそれから小雨となり、だらだらとしばらくつづいた。
傘をさして紫陽花の咲くあたりの見晴らし台につく頃止んだ。

蓑山の紫陽花遅し三分なり


尾根伝いに道はあり、その北側の斜面に紫陽花が植えられている。雨が上がった後は、よく晴れてそして蒸し蒸しとした。相当な湿度であるのは、呼吸の重さでわかる。体感気温は30度を越え、確実に体感湿度100%、たっぷりと水分を含んだ熱い空気が肺腑にやってくる。 
たまらんなと思って立ち止まると、一瞬風が吹いた。汗ばんだ体をさっと冷やして過ぎてゆく。実は、山頂につづく尾根道に風は吹き続けていたのだった。それなのに、駐車場から尾根道に登る途中の苦しさの記憶が、その心地よい風を意識の外に追いやっていたのだった。
改めて、深呼吸すれば、まごうことなく高原の風であった。そうして、気持ちよく木陰のベンチでおにぎりを平らげたのだった。

梅雨晴れや標高581.5風美味し


それと、肝心の紫陽花は、美の山公園の紫陽花は、6月13日現在で、三分咲きという程度であると、思った。見ごろまでには、もう少しかかると思われた。