ため息俳句 中禅寺湖遊覧
年をとって以来、たとえ日帰りのささやかな旅であろうと、数日以上の旅であろうと、気分はまったくの物見遊山である。旅に何かしらの意味を持たせるというのは、とっくにやめた。
今日は、日帰りで沼田から金精峠を越えて中禅寺湖、いろは坂を下り、足尾大間々へと抜けるコースで、車を走らせた。
本日のメインイベントは、中禅寺湖一周の遊覧船で男体山の紅葉を眺めるということであった。
車を走らせたと云っても、我らの場合運転は女房任せである。自分もハンドルを握ることが時折あるが、それは疲れた女房をしばし休憩させるためで、それ以外の移動中は後部座席で居眠りをしていても、あまり怒られないのだ。
そういうわけで、今日も紅葉を満喫したのであった。
金精峠の茶店で舞茸天ぷら蕎麦(これ、かなり美味しい)で腹を落ち着かせた。
雪閉ざす峠の蕎麦のうまきこと
戦場ヶ原方向に下りて行くと、辺りは完全に紅葉していた。
道筋には見所数々あれど、今日は全部スルーして、竜頭の滝に一寸寄って、公営の湖畔駐車場へと直行した。午後二時発の遊覧船に乗るためである。 駐車場にほど近くに「船の駅中善寺」が観光船乗り場である。ほどよく十五分前に到着。
遊覧船は、ずばり「男体」、湖上から仰ぐお山の名である。
無事乗船、大きく立派な船である。五十分ほどで中禅寺湖を一周する。
なんとかと煙は高いところへのぼるという通り、我ら夫婦は屋上デッキへと登った。それは、もう見晴らしの良さはこの上ない。
湖畔の紅葉、取り囲む山並みの秋景色、それよりなにより湖を見下ろして堂々たる男体山に、目を奪われた。
遊覧船は、男体山の膝元の中禅寺湖を周遊するのだから、船はどの方向に進むにしても、常にデッキ上からこのお山を眺めることができる。
男体や雲を戴き錦着る
てのひらに湖たたふ男体山
湖面は、波静か。
山上の湖はやや肌寒とはいえ、絶好の物見遊山日和であった。