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莫大な財産とぼくの妻を手に入れて君は一生遊んで暮らせるのだから強盗になってくれ💗『探偵 スルース』
《乱れ撃ちシネnote vol.233》
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鑑賞日:2025年1月3日 YouTube
【Introduction】
若い頃に観て印象に残っている映画を今観てどう感じるんだろうかということで選んだ作品がどれもサブスク配信されていない。
TSUTAYA DISCASのお試しに登録して観ることにした。
最初に観たのが『おかしな、おかしな、おかしな世界』。
『渚にて』『手錠のまゝの脱獄』『ニュールンベルグ裁判』『招かれざる客』などの硬派・社会派監督のスタンリー・クレイマーがハリウッドの新旧コメディアンを総動員してシネラマの大画面狭しと無声映画時代のドタバタ喜劇を再現した快作。
2本目が『ジョアンナ』。
ドラッグ、セックス、サイケデリック、反権力に酔いしれた若者パワーが爆発した1960年代スウィンギン・ロンドンを舞台にまるでファッション誌ヴォーグから抜け出たようなコケティッシュな一人の女の子が大人へと成長する物語。
たった二本の作品に出演しただけで映画界を去ったジュヌヴィエーブ・ウエイトの可愛らしさに目が釘付け。
そして、
3本目が今回の『探偵 スルース』。
ところが大ドジをしてしまった。
公開当時に観てかなり衝撃を受けた作品だったが再見してさほど面白さを感じないのでなんか変だな~と思いつつ観終わった。
残念だったな~とこの原稿を書きながら作品のことを調べていたら何と間違った作品を観てしまったのだ。
ぼくが観たのは2007年にケネス・ブラナー監督がリメイクした作品だったのだ。オリジナル・ヴァージョンに出演していたマイケル・ケインが今作にも出演していたので、なおさら分からなかったのだ。
オリジナルの『探偵 スルース』はTSUTAYA DISCASにも在庫がない。
ところが何とYouTubeに全編アップされているので早速再見した。
字幕がないので細かいやり取りは分からないがリメイク版で物語は頭に入っているのでスリリングな映像だけでも充分に楽しめた。
【物語】
世界的に有名なイギリスの推理小説家、アンドリュー・ワイク(ローレンス・オリヴィエ)は、ロンドン郊外にある豪華な邸に美人でセクシーな妻マーゲリットと住んでいた。彼女には、美容院を経営するマイロ・ティンドル(マイケル・ケイン)という愛人がいた。
ある日、アンドリューは手紙でマイロを自宅に呼び寄せる。
彼は、妻とマイロの関係を知っていた。しかしマーゲリットは贅沢な女なので、二人が結婚してもマイロが物質的に彼女を満足させることはできない。アンドリューは莫大な金額にのぼる宝石類を密かに金庫に入れており、その宝石には保険をかけていた。
そこで、マイロに宝石を盗み出させて海外で売り飛ばし、手に入れた金でマーゲリットと暮らせばいい、と申し出る。自分も保険金を手に入れ、年若い愛人ティアと一緒になるつもりだ、と言うアンドリュー。
宝石を売るアムステルダム故買商や、マイロが受け取る金額、アンドリュー名義の領収書などは一切手配済みで、警察に捕まる心配はない。マーゲリットは旅行中で、召使には暇をとらせている。
だが、盗みはもっともらしく行わなければならない。完全犯罪を成し遂げるためには万全の注意がいると、アンドリューは手の込んだお膳立てを整える。
彼の指示で、マイロは道化師の衣裳をまとい、外からはしごをかけて二階に入り、金庫を爆破して宝石箱を取り出し、邸中を引っかき廻す。そのうちアンドリューの態度は微妙に変化し始め、マイロに拳銃を突きつける。
そして、格闘中に射殺したことにすれば罪には問われないし、警察やマーゲリットは、マイロは宝石目当てだったと思うだろうし、何よりも自分の妻を奪った憎しみが晴れると言い出した。
逃げ惑うマイロは泣いて命乞いするが、アンドリューは容赦せずに拳銃の引き金を引く。マイロは階段の下に転落する――。
数日後の夜、アンドリューの邸に行方不明になったマイロを捜す老刑事が訪ねてきた。刑事は壁に残された二発の弾痕を発見し、巧みな尋問でアンドリューを追い詰め、自分の正体を露にする。
しわだらけの顔の下から現れたのは、マイロの若々しい顔だった。
アンドリューが発砲したのは実は空弾で、屈辱的なゲームを味わったマイロは、アンドリューに復讐すべく罠を仕掛けた。
ティアを殺し、その証拠を邸内に隠したというマイロ。そして数十分後には、本物の警察がやってくる。狼狽したアンドリューは家中を這いずり回り、証拠品を残らず見つける。その時チャイムが鳴る。
しかしこれは全て、ティアの協力を得てマイロが仕組んだトリックだった。このゲームはマイロの勝ち。マイロは、アンドリューが不能であること、そしてマーゲリットがもう家には戻らないことを告げ、最後に彼の小説を非難して立ち去ろうとする。その時、
登場人物は2人だけ。
大富豪の老作家と駆け出しの美容師の若者とのブラックユーモアと皮肉たっぷりの銃撃戦のようなセリフのやりとり、お互いの巧妙な心理戦とドンデン返しの連続でトニー賞に輝いた舞台劇をイギリスを代表する演技派ローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインの2人芝居で究極の騙し合い対決。
【Trivia & Topics】
✥ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督の遺作。
本作はイギリスの推理作家で劇作家アンソニー・シェーファーの代表作。
この舞台劇をシェーファー自らが脚本化して『イヴの総て』『三人の妻への手紙』などでアカデミーを受賞しているジョーゼフ・L・マンキーウィッツがお屋敷内の2人のセリフのやり取りだけで見事に目が離せないスリリングな作品に仕上げている。
オリヴィエとケインはアカデミー賞でも主演男優賞ダブルノミネート、監督賞、作曲賞など4部門候補になった傑作。
【鑑賞ガイド】
😄😄😄😄
~~~~~~~~~~~~~
😁😁😁😁😁:見事な作品。
😄😄😄😄:お勧めです。
😀😀😀:楽しめます。
😔😔:苦手です。
🥵:途中下車。
【巷のうわさ】
Filmarks:☆☆☆★(3.9)
『探偵 スルース』本編(英語版)
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