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埋めた、川に沈めた、俺が殺したのは7人。刑事さん俺の話を聞くか?💗「暗数殺人」

《乱れ撃ちシネnote vol.215》

鑑賞日:2024年8月2日 Amazon Prime Video

「暗数殺人」 キム・テギョン監督 2020年 韓国

1970年代。
今や遠い昔のことになりますが。
六本木のけやき坂通りに「スピークロー」という小さなカフェバーがありました。お客が10人も集まれば満員御礼なお店。

客筋には洋楽関係者、雑誌編集者、映画関係者、演劇関係者、カメラマンなどクリエイターが多くカルチャー談義で盛り上がっていました。
クセのあるお客たちをたしなめたりすかしたり笑わせていたのが通称“ 団長” 。故・伊藤勝男さん、店のオーナーです。
伊藤さんが六本木の前に西麻布で営業していたお店の名前が「サーカス」。
「サーカス」となればオーナーは団長。

伊藤さんはお客以上に音楽、演劇、映画、絵画、美術、芸術から芸能にいたるまでなんでもござれのうるさ型粋人オヤジ。趣味はお客をいじること。

B級ビデオ発掘カタログ

伊藤勝男さんの著書『B級ビデオ発掘カタログ』に推薦作のリストが掲載されているので久しぶりに団長のことを思い出しながら未見の映画を観ようということで選んだのがこの作品。
24.07.27(26) - ☆☆- 「ファイナル・オプション」 イアン・シャープ監督 1982年 イギリス Amazon
冒頭15分ほどは快調。ぐいぐい観るものを画面に引っ張りこむ力強さにあふれていたが中盤からちょっと。
B級映画とは毎週封切られるプログラム・ピクチャーのようなもの。きびしい予算や制作期間でどれだけ人を楽しませるかが勝負。
『B級映画論』で団長もオススメしているハワード・ホークス『コンドル』クラスになると今観ても感動するけれど多くのB級映画は経年変化に耐える力がない。

本作も今観るとちょっと・・・だったかな。

いきなり無性に日本映画が観たくなって当てずっぽうに選んだのがこの作品。
唐木監督作品は『母性』を以前大笑いしながら観た。
24.07.28(27)-☆☆-「月の満ち欠け」廣木隆一監督 2022年 日本 Amazon
後半の20分くらいになってからようやく面白くなったけれどそこまでがかったるい。時系列もわかりにくいし切なさが響き合えなかったのが残念。

団長オススメのB級作品の二作目。
24.07.28(28) -☆☆- 「勝負(かた)をつけろ」 ジャン・ベッケル監督 1962年 フランス、西ドイツ、ドイツ Amazon Prime video
ずいぶん久しぶりのフランス映画だ。
どこか成熟した映像を感じさせるのがフランス映画の魅力。
けれど映画としての魅力は感じなかった。
やはり経年変化に耐えなかったかな、この作品も。

箸休めにTverの国内ドラマランキング作品の冒頭だけ見た。
1位:ブラックペアン2 
2位:青島君はいじわる
3位:GO HOME 警視庁身元
4位:笑うマトリューシカ
・ビリオンスクール
・スカイキャッスル
・マル秘の密子さん

唯一、「マル秘の密子さん」だけは面白そう。後の作品は数分でギブアップ。
時間がもったいない。
ちなみに第一話が始まったときまっさきに観て乗れなかったクドカンの「新宿野戦病院」を二話目から観始めたらやたら面白かった。
前回はなんだったんだろうというくらいクドカン節炸裂で笑える。
いずれNetflixに戻った時に一気見しよう。

実話をもとにつくられている興味深い韓国映画を選んだ。
24.08. 01(01)- ☆☆-「モガディシュ 脱出までの14日間」 リュ・スンワン監督 2022年 韓国 Amazon
ソマリアで内戦が勃発し国民軍と反乱軍が市街戦を繰り広げるなか北朝鮮と韓国の大使館員とこどもたちを含む家族が協力して国外逃亡を試みる。

前半は退屈だったがいざ脱出が始まってからは緊迫感があったけれど作品としての面白みには欠けた。
少年兵、反乱軍や政府軍の描き方に今ひとつ説得力がないのでかなり切迫した展開なのに軽い作品となっているのが残念。

ちょっと食い足りないのでもう今晩はもう一本。
現在Amazonで配信されている作品から興味をひいたのが「カーテンコール」、「九尾の狐」、「ある日 真実のベール」、『暗数殺人』
ドラマはちょっと長引くから映画『暗数殺人』を選んだ。
24.08. 02(02)- ☆☆☆☆-「暗数殺人」 キム・テギョン監督 2020年 韓国 Amazon
この作品は面白い!

【Introduction】
罠にはめようとする受刑者と心の底から悪を憎む刑事との壮絶な闘いが淡々と語られる。
派手さはないけれど目が離せない面白さ。
なによりもこの複数殺人事件が実話に基づいているのが凄い。

昨日観た『モガディシュ・・・』で韓国がわの大使館員を演じたキム・ユンソクの刑事と、犯人役チュ・ジフン(「支配種」)の丁々発止のやりとりにはゾクゾクする。

【物語の概要】
「7人だ。俺が殺したのは全部で7人」キム・ヒョンミン刑事(キム・ユンソク)は、恋人を殺害し逮捕されたカン・テオ(チュ・ジフン)から突然の告白を受ける。
しかし、テオの証言のほかに一切証拠はない。
そもそも彼は、何故自らそのような告白を始めたのか?警察内部でもテオの自白をまともに受け入れる者がいない中、ヒョンミンは直感的にテオの言葉が真実であると確信する。上層部の反対を押し切り捜査を進めてゆくのだった。
そしてついに、テオの証言どおり白骨化した死体が発見される。
しかし、テオは突然「俺は死体を運んだだけだ」と今までの証言をくつがえす発言をし、翻弄されてゆくヒョンミン。
果たして残る死体は存在するのか?テオの目的は一体何なのか?

~knTV801より

【Trivia & Topics】
✥原作。

2012年に韓国・SBSで放送されたドキュメンタリー番組『それが知りたい』の中で取り上げられた実際の事件をモチーフに制作されました。

✥暗数。
暗数(あんすう)とは、実際の数量と統計上扱われる数量との差を指し、主に犯罪統計において使用されます。犯罪統計においては、警察などの公的機関が認知している犯罪の件数と実社会で起きている件数との差を指します。

✥二人の役者。
アンソニー・シェーファーの舞台劇をシェーファー自らが脚本を書いて映画化したジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督の『探偵 スルース』のローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインを思い起こしたほどキム・ユンソクとチュ・ジフンとのやり取りが見事でした。

左:キム・ユンソク 右:チュ・ジフン

✥受賞歴。
・第39回青龍映画賞:脚本賞(クァク・キョンテク、キム・テギュン)

・第39回青龍映画賞:人気スター賞(チュ・ジフン)

・第55回百想芸術大賞:映画部門 シナリオ賞(クァク・キョンテク、キム・テギュン)

・第24回春史大賞映画祭:新人監督賞(キム・テギュン)

・第24回春史大賞映画祭:主演男優賞(チュ・ジフン)

・第38回韓国映画評論家協会賞:脚本賞(クァク・キョンテク、キム・テギュン)

・第38回韓国映画評論家協会賞:ヨンピョン11選

・第39回黄金撮影賞:最優秀主演男優賞(チュ・ジフン)

・第5回韓国映画制作者協会賞:主演男優賞(チュ・ジフン)

・第7回大韓民国ベストスター賞:ベスト主演賞(キム・ユンソク)

・第3回ロンドン東アジア映画祭:主演男優賞(キム・ユンソク)

【鑑賞ガイド】
😁😁😁
~~~~~~~~~~~~~
😁😁😁😁😁:見事な作品。
😄😄😄😄:お勧めです。
😀😀😀:楽しめます。
😔😔:苦手です。
🥵:途中下車。

【巷のうわさ】
Filmarks:☆☆☆★(3.5)

Amazon:☆☆☆☆

u-next :☆☆☆☆

Netflix



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