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洗面器追放事件

ある小さな家で起きた事件です。

登場人物は洗面器に水が入るのが嫌いな夫、大らかな妻、さらに大らかな娘たちです。

時々、夫は自分のシャツをお風呂に持ち込んで洗い、使った洗面器はお風呂の蓋の上に置いていました。蓋の上に置かれた洗面器は何かと邪魔なので、妻はその洗面器をシャワーラックに、娘たちは床に移動させます。

娘たちが床に置いた洗面器は、水が入らないよう妻によってシャワーラックにおかれていました。そうしてこの家の小さな平和は保たれていたのでした。

ところがある不幸な日、洗面器が床に移動したまま、娘たちがシャワーを使い、夫が入浴しました。

ご機嫌が悪かった夫はさっそく「使い終わった洗面器は伏せておくように!」女性陣に申し渡します。

しかし娘たちは「? そんなこと言われても、、、洗面器使ってないし。」としれっとしています。

夫「水が入っている! マナー違反!」と言い

妻「そうかねえ。水が入るのが嫌ならシャワーラックに入れれば(水は)入らないよ」のんびりと答えます。

夫「お風呂の蓋の上に洗面器を置くのは(夫の家では)普通だ。洗面器を伏せて置いとけばいいのに、そうしないのがおかしい。」

妻と娘たち「お風呂の蓋の上にあるのは邪魔だよ?」

さらに妻、「床に置いとくと洗面器の底がカビるよ。」

カビの嫌いな夫は「うっ」とうめきました。妻は結婚以来18年間洗面器を移動させてきましたが、更年期が訪れ、 「これから何年も洗面器をラックに移動させ続けるのも正直しんどい」と思ったのです。

そしてなんという事でしょう。聞き取りの結果、入浴中に洗面器を使う人はいなかったのです。

その事実を知り、妻は宣言したのでした。

妻「洗面器はお風呂から追放。洗濯機の上に置く。使う時だけお風呂に持っていけばカビないし、水も入らないからそれでいい?」

夫「お、おう」

おまけ
今では何の問題もなく、洗面器はお風呂場と洗濯機の上を移動しています。「無駄な労力を使ってたなぁ」と思う妻でした。夫は手桶もお風呂の蓋の上に置きますが、こちらは妻も使いますし場所を取らないので、今のところ平和です。

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