コウイチTVという概念
私の好きなYouTuber『コウイチTV』の最新動画である。彼の動画作品はとんでもない本数あるので、興味のある人は"スターターキット"という再生リストを観てみて欲しい。
私がコウイチTVと出会ったのは2年程前。たまたまYouTubeのおすすめ動画に出てきたものを観たら面白かったので、調べてみたら結構ツボに入る動画を沢山あげていたから、手あたり次第に観ている内にハマってしまった。
これが初めて観た彼の動画。
"やってみた"系のYouTuberとは違い、ショートショートのような短編動画作品を投稿しているクリエイターである。傾向としてはシュール・ホラー・コメディがいい感じに調和していると言える。
あまり素性を出さないイメージがあるので、最近になってこういうインタビュー記事を見かける度に、制作側としてのコウイチさんの輪郭が鮮明になっていくのは面白い。その一方で、嘘か本当か分からないような動画内における彼のキャラクターとしての振る舞いが、また作品を彩っていたことも確かだったのだと分かる。
短編の種類は様々で、最近は1~2分で終わるようなさっくりしたものが多い。ただのおふざけではなく、日常の中に非日常が潜むような、一つの芸術作品を観ているような奥行きがある。ドラマ的というより演劇的で、描画的というより文脈的だ。
他にも、動画ごとにさりげない伏線が張られ、世界が繋がっているものがあったりして、それはもう絶妙な吸引力だ。個性的なスタイルと世界観をプッシュしすぎても味に飽きるが、ファンでない人が観ても面白い上に、何本も観ているからこそ気付けるポイントがあったりするから、これは動画クリエイターとしての才能は天才の領域にいると思っている。
そうは言っても、個人の好みは分れるし、万人受けするものではないかもしれない。だが、それこそが既存のファンが離れずに数字が増え続けている理由の一つかと思う。上記記事でも述べられていたが、彼はやりたいようにやり、スタンスを崩してリクエストを受けるつもりは全くない。それでも高校生の頃から長年投稿を続けているのだから、目標に向かって励むアスリートとは全く異なる種の強い精神力を感じる。ただ気長にやるだけでは絶対に継続は難しい、というのが全人類共通の性質だからだ。彼のモチベーションは"ウケてちやほやされること"ではなかったからこそ、ここまで伸びたのだろう。
そして、それは最早"コウイチ系"と言ってもいいくらい、秀逸な動画ジャンルとして確立しているように思う。シュール・ホラー・コメディ。これらをあんなに上手く調理出来る人もなかなかいない。それをYouTuber活動として投稿し続けるなら、尚更だ。
私もこうやってnoteをぼちぼち書き始めたけれど、今までこういうことが継続した試しがない。コウイチTVは、知らない人は知らないというチャンネルだが、時折、登録者が100万越えのYouTuberよりも圧倒的に強いと感じることがある。現在のファンとの距離感も好きだが、登録者が100万を越えても、これからも彼なりのやり方で活動を続けて欲しい。そうすれば、きっと既存のファンも裏切られないまま、どんどんコウイチさんの良さが磨かれていくのだろう。私としては、内輪の楽しみで終わらせるにはもったいないくらいいい動画ばかりだ。是非、観ていない人はコウイチさんの世界に使って欲しい。
最後に、私の一番好きな動画を置いておく。
さようなら!