おしゃべり
実家に帰ると、間髪入れずにかあさんは身の回りのことを喋りだす。
この間買い物へ行って、いいものが安く手に入ったこと。
かあさんの育った家族との電話で、面白かったこと。
いとこが今、何をしているか。
マシンガンのように話題が次から次へとんで、
追いついていくのがやっとなほど。
ただ、とても嬉しそうに話してくれるので、
こちらも相槌を打たずにいられなくなる。
話していくうちに、決定的に、自分とかあさんの違いに気づく。
これは、他の家族に対しても。
同じ家族でも、違う人間なのだと度々思い知る。
今までにどれだけの我慢を強いたのだろう。
子供の勝手な我儘に、我を忘れて怒鳴りたくなったことはどれだけあっただろう。
ぐっと堪えさせてしまったことは、どれだけあったのだろう。
いろんなことを気兼ねなく話してもらう中で、
「あんたはもう大丈夫だね」
と認められたように感じながら、
また超特急で変わる話題に、必死にしがみついていくのです。
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