うちの祖父母のお話。-おじいちゃんは宇宙人の巻-
ふと残したくなったので
祖父母の話をします。
今日は 祖父のことを。
わたしは 9歳頃から
母方の祖父母のうちで 3人暮らしでした。
といっても
祖父は 殆ど 家に居なくて
ほぼ 祖母とふたり。
たまに 突然ひょっこり帰ってきて
また いなくなります。
昔の人のわりには
背も高く、
髪の毛は 少しいい感じの天然で
ウェーブがほんの少しかかっていて
ロマンスグレー。
寡黙で
帰ってきても
言葉を交わすことも ほぼない。
怒られることもない。
わたしを見ることもない。
(わたしの記憶では)
細身で
いつも 白いカッターシャツに
ノーネクタイで
スラックスを履いている。
生まれ持って
左目が弱視で 殆ど視力はなかったらしい。
それでも
運動神経は良かったらしく
野球をしていた。
ピッチャーで
4番バッター。
祖父の実家が 何をしていたのかは聞けていないけど
お金持ちだったようだ。
兄弟が5人。
末っ子だったか、4人目だったか、、それも記憶にないけど、、
とにかく 他の兄弟全員
職業は医師。
祖父も 勉強はできていたみたいで
昔の大学も出ている。
知識は豊富だった。
ただ 祖父はその中でも
どうやら 蔵ひとつ潰した、
と言われたほどの遊び人でもあった。
近所の人からは
「小説家?」
「画家?」
と言われるような風貌。
字を書けば
流れるような達筆な綺麗な文字を書く。
老舗の旅館の事務を仕事にしていた。
また、
一度 夏休みのわたしの宿題で
絵を描くのを忘れていて
祖父が描いたことがある。
(たぶん 祖父が描きたかったんだろうと思う)
初めて見た祖父の絵に驚いた。
水彩画で優しい色使い、
構図も決まっていた。
そんな祖父のことを
わたしはずっと不思議に思っていて
にんげんなの?
うちゅうじんじゃないの?
って こっそり思っていた。
いつの日か
祖母に
「じいちゃん、宇宙人みたい」
って言ったら
「しっ」
と 人差し指を立て
口元にもっていって
口にしちゃダメって言われたことがある。
確かめようがないんだけど
そのせいもあってか
子供の頃は
祖父は宇宙人
と思っていた。
笑われそうだし
自分でも笑っちゃうんだけど
何処か頭の片隅で
人間だと証明できてない気がして
まだ なんとなく
その可能性も捨てきれていない(笑)
そんな祖父も
年老いてからは
家にいることが増えた。
相変わらず寡黙だけど
笑わせると
静かに笑う姿は好きだった。
野球と相撲が好きで
よくテレビのチャンネル争いしてたなぁ。
結局 わたしが
拗ねながらも譲ってたけど。
どんなに拗ねても
怒っても
夢中になると
祖父は周りが見えてないようだった。
朝と夕に
毎日 散歩をし
散歩をするのも
白いカッターシャツにスラックス。
背筋もピンとしていて姿勢が良い。
家にいる時は
わたしの勉強机の椅子に座り
足を組んで
時には煙草を吸いながら
読書していた。
新聞も毎日
端から端まで読んでいた。
今はもう亡き祖父だけど
あなたは わたしの記憶というか
やはり ここ(脳内)とここ(心)と
あと、そうだなぁ、
なんていうんだろう、
わたしというひとつの宇宙みたいな、
小さいけど偉大な細胞みたいに宙みたいに
変わらずいるよ。
今でも
宇宙人じゃなかったのか、なんて思ってるよ。
それに、
亡くなる数年前に
初めて聞いた、
人生では経験できなかったあなたの夢、
「指揮者になってみたかったなぁ。」
という言葉には驚いた。
本当に不思議な人。
あなたのがきっかけなのかなんなのか
実はわたし、
毎日毎日
子供の頃に
見ていた夢があったんだよ。
家の戸を開けると
目の前の空に
大きな宇宙船がいるの。
その宇宙船は
日毎 近づいてきていて
肉眼で 細部の細かい窓のようなものまで
見えた。
無数にあったんだよ。
ゆっくり回りながら
浮いている。
円盤型の宇宙船。
ただただ
驚いて見ていたけど
(夢でね)
(たぶんね)
毎日見るものだから
毎晩 祖父の本物の実家である宇宙船が
迎えに来たのかと思って
いつかその本物?の姿に会えるのかもしれないと思って
眠るのも楽しみになっていたんだよ。
一週間ほど連続で見たものの
それからは
一切見なくなったけど。
いろいろと人生あったけど
本当にいろいろあったけど
あなたに出会えたこと、
いまだに
ちょっとわくわくするし
なんだか誇らしい気がします。
最近 ふと思い出すんです。
宇宙船と
背筋のピンとした、
なんとも言えない雰囲気をまとっていたあなたのことを。
すべてが
何もかもが
楽しみです。
今 生きていることも
この先
どんなことがあるにしても。
なんだか
最後 祖父に宛てた手紙みたいになってしまいましたが。
こうして
今は 物理的に会えなくなった命を
じっくり
ゆっくり
思い出すのもいいものだなぁ。
今 優しさに包まれてる気がしてきました(笑)
最後まで
読んでいただき、ありがとうございます。
ヘッダー画像 可愛らしい宇宙人をお借りしました。