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生い立ちパズル③ piece:柴犬ジョニー

 小学生になった頃、いきさつは覚えてないけど 家で柴犬を飼うことになります。
柴犬の男の子。ジョニーです。
確か 初めて会ったジョニーは 子犬だったのに 暫くいなくなります。
ここら辺の経緯が よくわからないのですが。

 再会したジョニーは しっかり成犬に近い立派な凛々しい柴犬になっていました。なんだか きりっとしてます。
朧気に覚えているのは どうやら ジョニーは『犬の学校』というところで 様々な訓練をして 表彰されたということ、優勝カップも持って帰って来てました。
ずっと その優勝カップを 祖父母の家に引っ越した後も 大切に置いてあったのに 今は どこにあるんだろう…。

この柴犬ジョニーは、わたしの心を たくさん救ってくれた大切な大切な存在となります

大人になってからも 苦しいことあると ジョニーの名前を呼んでいました。今はもうとっくに天国暮らしなんですけど。
近くで見てくれているような気もします。
呼ぶと 近くにいる気がします。
ジョニーに会いたくなります。

一緒にいた頃は 思いきり飛びついてきて 仰向けに転ばされ、上に乗られてペロペロ顔中 舐められ、わたしは 転ばされたことが気に食わず 半泣きで起き上がると ジョニーを置いて帰ったりしてました。ぷんぷんに怒りました。

それでも、後をついてきて 「なんで怒ってるの?ごめんね」というように 
尻尾振って わたしの顔を覗きこんで、 ずっと 側にいます。

パンをあげると 必ず  穴を掘って埋めてました。ジョニーの隠し場所。
あとから食べてるの見たことなかったなぁ。こっそり食べてたのかな。

そして、このジョニー、かくれんぼも出来ました。
葉っぱの茂みに隠れているジョニーを わたしは先に見つけるんですが、ジョニーが嬉しそうに お尻むずむずさせて わたしを驚かせようとしてる姿が可愛くて 気付かないふりを よくしました。

そのまま (わたしは 知ってるもん)と思いながら 気付いてないふりで 素通りすると、ザッと 草陰から 出てきて わたしの足首を 器用に 両前脚で捕まえにくるんです。
それがたのしくて よくかくれんぼしました。
わたしが隠れても必ず見つけに来ました。
鼻がいいもんね(笑)

山にも ジョニーが よく連れて行ってくれました。
「わんわん!」
わたしの目の前で 凛々しく立って鳴きます。
 「行こう!」、と誘ってるんです。

気が乗らない時は 「行きたくない」と言って 家に帰ろうとするんだけど、ジョニーは 先回りして わたしの目の前で 立ち止まって また 「わん!」「わん!」、
絶対 帰してくれません(笑)

何度もこれを繰り返して 結局 ジョニーと一緒に 山の裏道を進みます。
犬しか行かないような道も 歩かされ、登らされます。滑って なかなか登れないところでは 登りきるまで ジョニーが 先に上がって 振り返って 待ってくれてます。

ジョニーがいてくれて どんなに わたしの孤独は 癒されたか。ジョニーがいてくれれば 何もいらないほど 大好きでした。

山へ行く遊びに慣れた頃には たまに 山にわたしをひとり置いていなくなるので また帰って喧嘩なんですけどね(笑)

でも あの経験があったから 自然たちの存在を感じられるようになったんです。
ひとりきりの山道は 少し怖かったりします。

ザワザワザワ

ガサガサガサ

ガサッ


頭上 見上げると 少しぞわぞわしたり。早足で帰ったり、 時には また アメンボやカエルや、いろんなものと触れ合ううちに 集中しすぎて 時間を忘れたり。

貴重な経験をしたと思います。

ジョニーとの山登りで こんな不思議な経験もしました。よかったら 覗いてみてください。

わたしが寂しい時は、隣りに座って 同じ景色を見ながら 話を聞いてもくれました。横顔が頼りがいあるし、ほんと凛々しい。
わたしが話しながら涙を流すと ジョニーは慌てて ペロっと涙を舐めてくれます。
困った顔して わたしを見ます。抱きしめて泣いたこともありました。


大好きだよ、ジョニー。


 小学三年生頃まで ジョニーのいる暮らしでした。
わたしは 母方の祖父母の家に預けられるのですが、ジョニーは その引っ越した先にも 毎日通って 会いに来てくれたんです。
距離にすると 片道1kmくらい離れてたのですが、一体 どうやって 道を覚えたのか不思議でした。

夕方になると ジョニーは トコトコ弾むような足取りで 帰っていきます。数回 ついていって 帰る後ろ姿を見たことあります。可愛かったです。きょろきょろしながらも 寄り道することなく まっすぐ帰ってました。


ジョニーが 祖父母の家に通ってくるようになったのは わたしが祖父母の家へ引っ越して、暫くしてからでした。

最初に 祖父母の家の前で 「わん!」と吠える嬉しそうなジョニーの姿を見つけた時は 信じられませんでした。夢かと思いました。
一匹で来てたんです。
わたしの顔 見て
「来たよ!」、という嬉しそうな表情で 尻尾をブンブン振ってました。

更にジョニーとの絆が深まりました。

今でもジョニーを愛してます。人間より信頼できる…。

あの頃 放し飼いの犬が多かった時代です。
でも、いつしか、ジョニーは バッタリと来なくなります。探し回りましたが、見つけることが出来ませんでした。ジョニーのその後を知ることも出来ませんでした。

でも、今も ジョニーは わたしの中にいます。
ジョニーとの出会いがあったから ここから先のいろいろなことにも強くいられたんです。




                                            𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭

ジョニーは よく山に わたしをひとり残し 帰っていましたが、どこかで見守ってたかもしれないなぁ、と 今 ふと思いました。

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