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Freddie Roach - Mo' Green Please(1963)

もっと玉ねぎを頂戴。そんなタイトルが前年にでたブッカーT&The MG'sのグリーンオニオンを意識していたのかは分かりませんが、内容のほうはフレディローチというオルガン奏者の個性が詰め込まれており誰かを意識しているとかとは無縁の世界です。フレディは教会でオルガンを弾き、次第に芸能の世界へ。ジャズはもちろん顔立ちの良さを生かして舞台俳優をしたり文才もありライナーを自分で書いている他、本を書いたこともあるそうです。サックス奏者兼ブルーノートのスカウト担当だったアイクケベックに認められ彼のサイドマンを務めたのちブルーノートと契約すると1年で3枚という短いスパンでアルバムをリリースします。本作はそんな3枚の最後にリリースされました。ちなみにジャケットで食べ物をよそっているおばちゃんは貧しいジャズミュージシャンのお母さん的な人だった人物で金のないミュージシャンが店に来るとつけにしてあげていたそうでフレディもお世話になったとか

メンバー
フレディローチ:オルガン
エディライト、ケニーバレル:ギター
コンラッドレスター:テナーサックス
クラレンスジョンソン:ドラム

Gorga Mooga
軽やかなソウルナンバー。とつとつとしたアドリブをくり広げるテナーサックスとタンバリン風の軽いタッチのドラミングが印象的です

Baby Don't You Cry
切ないバラードナンバー。オルガンのバラードというとややムーディーになりがちだったり他の楽器にリードを譲りがちですがここではフレディのコクのあるオルガンがしみじみとメロディを歌います。

Party Time
アップテンポの陽気なオルガンナンバー。アップテンポだとジャックマクダフやジミーマクグリフのようなブルースよりのオルガン奏者に通ずるものがありますがグラントグリーンのようなシーケンスフレーズは教会音楽との結びつきの強さを感じます。

Nada Bossa
タイトル通りボサノヴァ風の一曲ではなくコテコテのソウルジャズです。若干ドラムはボサノヴァ風の軽いタッチですがボサノヴァかと言われればそんなことはなくオルガンもサックスもコテコテの世界。

()Mo' Green Please
コテコテのブルースナンバー。濁らせたトーンのサックスとダーティなトーンのギターはスティーブクロッパーを意識しているようにも思います。アドリブも短くシンプルでグリーンオニオンを意識しているかもしれません

Blues In The Front Room
アップテンポのハードバップ的な一曲。ギターはケニーバレル。彼のために書かれたといっても不思議ではないくらいいきいきとアドリブをくり広げています。

I Know
人懐こい明るい一曲。たまにこういったほっこりした曲があるのもオルガンジャズのいいところです。

Is You Or Is You Ain't My Baby
ルイジョーダンやダイナワシントンといったブルースを得意としたシンガーがスローテンポで歌った曲。ここではアップテンポかつアドリブの素材なので同じ曲とは思えないです。

Unchained Melody
ライチャスブラザーズのカバーでコンラッドレスターのむせぶようなサックスが心にしみます。彼は無名のサックス奏者ですがDiscogsでクレジットを調べると全てフレディローチの作品なので彼と長く活動を共にしてきた人なのでしょう

Two Different Worlds
アップテンポのハードバップナンバー。テナーサックスを中心にドライブ感ある演奏を繰り広げています。